第84話 旦那様のせいではない
ちなみに今現在ダニエルは行方をくらませており、何処に潜伏しているのか分からないという状況である。
それだけならばまだ良いのだが、ダニエルの足取りを遡った結果帝国から魔族側へと向かっていた事が分かり、今現在帝国は魔族側だけではなく人族側の国々からかなり非難されてしまっている。
俺のスローライフ生活がやっと形になり始めたというところでダニエルの奴がとんでもない邪魔をしてきやがった……。
死亡フラグを回避しようとした結果、運命が強引にその歪みを元に戻そうとしているような、そんな気持ち悪い感覚になる。
まぁ、これが運命の仕業だと言われても跳ね返すだけなのだが。
今の俺には守るべき領民と妻であるドゥーナ、そして近い将来俺たちの間に産まれてくるだろう子供がいるので今まで逃げてきた運命と戦う覚悟は既にできている。
「ダニエル……いったいどうしてしまったんだろうか。 こんな事をするような奴じゃなかったんだが……」
「確かにな……。もしかしたら誰かに操られている可能性もあるから何とも言えないのだが……それでも実際に魔族側で虐殺行為をしたのはダニエルで間違いない……。その報いは受けなければならないだろう」
俺視点から見てもダニエルの性格は終わっているとは思うのだが(まさかあそこまで酷い性格だとは思わなかったのだが)、それでもあんな事をするほどの度胸はなかったはずであるし、第三者からよく見られる事を第一に考え行動していた人間が、第三者から嫌われてしまうような行動をするとはとてもではないが思えないのも確かである。
その為、恐らくダニエルではない何かしらの要因が別にあるとは思うのだが、それが何であるのかまでは分からない。
もしかしたら気でも狂ってダニエル本人の行動である可能性もあれば、バックに誰かいる可能性や、既に殺されていて死霊系魔術で操られていたり、そうでなくても魅了などで操られている可能性もある訳で……。
どの道、こうなってしまったのは俺が本来とは違う行動を取ってしまったから起きた事件である事は間違いない。
であれば、今回魔族側で起きた惨劇は俺のせいで起きたと言っても過言ではないだろう。
「もしかしたら俺があの時ダニエルを追い込み過ぎたせいかもしれないよな……」
「それは違うぞ、旦那様。全てダニエルの弱さが招いた結果であり、全てダニエルの自己責任だ。旦那様のせいではない」
そしてマイナス思考に陥ってしまい、思わず零れてしまった言葉にドゥーナがそれは違うと俺の目を見て力強く否定してくれる。
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