第81話 後は突き進むだけ



 そもそも旦那様に子供が欲しいと言ってしまっている時点で、今更本心を恥ずかしいからと隠しても意味が無いだろうし、せっかくのチャンスを逃す事になるくらいならばしっかりと私の本心を伝えるべきだろう。


 一度覚悟を決めたら後は突き進むだけだ。


「私は生物として愛した異性の子供を欲しいと思っているんだっ!!」


 だからもう一度、今度は旦那様の目をしっかりと見て『愛する者との間に子供が欲しい』と伝える。


「…………わ、分かった。俺も覚悟を決めるから少しだけ時間をくれないか? 覚悟が決まれば俺からドゥーナを誘う」

「…………うあ……っ。 あ、う…………うん。待ってる」


 そして私の覚悟が旦那様まで伝わったのか、旦那様が私との間に子供を作ってくれることを了承してくれるではなか。


 その時の旦那様の耳が赤く染まっている事に気付いた私は、旦那様は旦那様で恥ずかしかったのに頑張って答えてくれたんだなと思うと、今まで以上に旦那様の事が愛おしく思えて仕方がなかった。


 正直言うと、旦那様の覚悟を待たずに今すぐにでも押し倒してしまいそうになるくらいには……。





 タリム領に冒険者の闘技場と放送環境が整って、数か月が経った。


 帝国内のギルドで放送してくれているお陰か、帝国内で燻ぶっていた冒険者が当初の予定以上にタリム領に来てくれたお陰でかなり賑わっている。


 更に嬉しい事に味噌や醤油、日本酒などもまだ粗削りレベルではあるものの一応は完成しており、特産品も想像以上に大好評で、その中でも醤油やみりん、地鶏で取った出汁などを使ったうどんと日本酒が好評である。


 まさに嬉しい誤算であり、嬉しい悲鳴であろう。


 その為うどんに関してはお土産用を、連日従業員を増やして作っているのだが、それでも追いつかない程である。


 日本酒に関しては数に限りがあるのでお土産用を用意する事はできず、それどころか提供用でも現在の在庫から逆算して一日に提供できる量を制限しなければならない程である。


 そんな忙しい日々の中でもドゥーナとの時間を作るようにしており、今日はドゥーナとのデートの日である。


 恐らく今日もいつも通り発展していくタリム領を眺めながら新しくできた飲食店などを巡る感じになるのだろうと思っていた。


 そして、俺がさり気なく裏で手を引いて流行らせた醤油みりん砂糖で作ったタレで味付けして焼く焼き鳥風、というかもろに焼き鳥の屋台を見つけたのでそこで何種類か購入してベンチに座り二人で座って食べる。


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