第78話 可愛いところでもある
◆
「始めはどうなるものかと思っていたのだが、なんとか軌道に乗れたみたいで一安心だな」
「いや、本当にそうだよな……まさかここまで全て上手くとは思わなかったな……。それもこれもドゥーナのお陰でもある」
私がそう言うと旦那様が私の頭を撫でながら私のお陰でもあると言ってくれるではないか。
その事が嬉しくて私の尻尾がブンブンと左右に揺れる。
「それで実家から抗議の手紙が来ているのだがどうする? 旦那様」
「あぁ、それに関しては無視して良い。何かあれば俺が跳ね返すしちゃんと帝国側と冒険者ギルド側からも抗議の連絡をさせてもらうつもりだ。あと流石に鬱陶しい場合は直接乗り込んでぶん殴るつもりだから気にするな」
そして、それとは別に私の実家からの手紙について相談してみたのだが、こちらからは無視、代わりに帝国側と冒険者ギルドから抗議を入れてもらうと返事をしてくれる。
しかも、それでも直らないのであれば直接殴って抗議してくれるというではないか。
普通であれば自分の親を殴ると言われたらいやな気分になるのだが、私の場合は親に裏切られた上でゴミ箱に捨てるように旦那様の所に嫁がされた身で言わせてもらえば、かなり嬉しいと思うし、もっとやってやれとすら思ってしまう。
「しかし……せっかくのデートなのにこんな色気の無い話ですまない……。わ、私は昔から女っ気が無くてな……。可愛くないだろ? こんな女……」
しかしながらデート中にこんな色気の無いような事を言ってしまう私なんか、いつか旦那様に見捨てられるのではないか? と、旦那様とデートする度に思ってしまう。
少し前にデートした時なんか、タリム領の冒険者ギルドに登録している冒険者と模擬戦をしてみたいと言って、デートそっちのけで模擬戦をしてしまう始末である。
そして毎回デートから帰って来ては家で反省するという事を繰り返すのだが、結局こうやってデートとまったく関係ない事を話したり、首を突っ込んだりするのだから泣きたくなる。
「いや、それ込みでドゥーナの良いところだし、可愛いところでもあると俺は思うが?」
「だ、旦那様……っ!!」
さらに言うと、私がこう言うと旦那様が『そんなことは無い。ドゥーナは可愛い』と慰めてくれる事に味を占め始めている自分がおり、わざとそういう行為をしそうになるのだから救えない。
「とりあえず、俺もドゥーナのように美人な女性を連れてデートとかは未だに慣れないからな、その点に関してはお互い様だろう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます