第68話 私の事を避けている理由


 ただ方法があるとするならば俺が持っている映像魔球を、とあるダンジョンで低確率にてドロップする『魔道具または所持しているアイテムを複製できるアイテム』を使い複製したものを他の領地へ貸し出した場合は例外ではあるものの、今のところ貸し出す予定は無い。


 それでもいずれは全国大会などを開きたいとは思っているので一定の認知度と人気が出始めてから貸し出そうとは思っている。


 ちなみに譲ったり販売をしたりするつもりは無く、あくまでも貸し出すだけである。


「これが上手くいば帝国内だけは燻ぶっている冒険者たちは今までよりかはマシになるんじゃないかな? それでも『本来の冒険者とかけ離れている』や『自分の手の内を晒す馬鹿がどこにいる』などと言って参加しなかったり他国へ拠点を移す冒険者たちもいるだろうが、そこまでは俺も面倒見切れないしな……。そもそも俺の領地を発展できれば良い訳だし」

「あぁ、それで良いと私も思うぞ? 肩入れしすぎて両方失敗して、本来救えた筈の冒険者も救えなくなるような事になるよりかは遥かにマシだ。 それに、一つ例外を出したり冒険者側の要望を聞いてしまったら俺も私もとキリが無くなるからな。慎重に慎重を重ねて判断して行動していく方が賢明だしな」


 ドゥーナはそう言うと俺の手をさり気なく握ってくると、俺の肩へ頭を乗せてくるではないか。


 今現在馬車の中なので見られて困るような者はいないのだが、なんとうかこれはこれでドゥーナの感情を読み取ることができずに困ってしまう。


「ドゥーナ……?」

「嫌ならば申してくれ……。私だって恥ずかしいのを我慢しているのだが、それ以上に旦那様とこうしたいと思ったからこそ行動に移したという事だけは分かってくれ……」


 そして俺はドゥーナへ声をかけると、ドゥーナは今の感情を隠そうともせずそのまま感じている事を言葉にして伝えてくるではないか。


 流石の俺もここまでされて気付かない訳がない。


 結局今まで裏切られる事が怖くてドゥーナの事を信用しきれておらず『メインヒロインであるドゥーナが俺に惚れる訳がない』と予防線を張って、俺が傷つかないように逃げていただけなのだ。


 だから俺も勇気を出す事にする。


「いや、嫌ではない」


 そして俺はドゥーナの肩を抱き寄せるのであった。





 旦那様は私の事を避けている理由は分かっていた。


 そしてそれが自分の今までの行いのせいであり、自業自得である事も理解できている。


 だからこそ、私から旦那様にこの感情を伝えなければ何も始まらないという事も理解していたし、ここで嘘をついて誤魔化すのは一番やってはいけない手段である事も理解していた。

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