第66話 教えてもらおうか
「小僧、あまり調子に乗り過ぎると……へ? ぐふっあっ!!」
「調子に乗り過ぎると何だって?」
そして俺が軽く挑発してやるとギルドマスターは簡単に引っかかってくれたようで俺に殴りかかって来たので、俺は軽く避けるとそのままその横腹目掛けて蹴り技を叩きこむ。
するとギルドマスターは二階にある部屋の壁をぶち破ってギルド内部にある修練場へと転がり落ちるので、俺も追って飛び降りる。
幸い、修練場は未使用だったらしく使用者がいなかったのは嬉しい誤算であった。
これで俺がギルドマスターを倒しても変な噂が流れる心配は無いだろう。
「ぐ…………貴様……」
「何で俺を睨みつけるんだい? 最終的に暴力で解決しようとしたのは冒険者ギルドマスター、お前だろう? にもかかわらず逆にやり返されてキレるとか頭おかしいんじゃねぇのか?」
「……良いだろう。荒くれ者たちを束ねるギルドマスターという者がどういう存在であるかしっかりとその身体に叩き込んでやろう……」
そしてギルドマスターはそういうと、キューブ型のペンダントへ魔力を注ぎ、自分の背丈よりも大きな大剣へと変化させるではないか。
「引退してはいるが、日々の鍛錬は欠かさず行って来たのはお前みたいな生意気な奴らを力でねじ伏せる為なんだが、貴族様相手にこの大剣を見せたのは初めてだな。その点だけは誇っていいぞ? 小僧」
そういうとギルドマスターは、まるで大剣の重さを微塵も感じていないかのようなスピードで斬撃を繰り出して来るのだが、はっきり言ってこの程度で今まで散々威張っていたのかと俺はがっかりする。
「つまらん……」
なので俺はギルドマスターの大剣の腹を拳で殴り真っ二つに折った後、ギルドマスターを今一度蹴り飛ばし、修練場の壁に当たってドスンと地面に落ちて土煙を上げているギルドマスターへと近づく。
「何か勘違いしているようだから教えてやるが、武力で相手を押さえつけようと思えばいつでもできたにも関わらず対話でわざわざ対応していたのはお前じゃなくて俺なんだよ筋肉ゴリラ」
「ぐぬ……っ。お前は一体、そんな力をどこで……」
「あ? 今は俺の強さの秘訣なんか関係ない。 それで、優しい俺は話を初めに戻してやるよ。 で、冒険者ギルドはS級冒険者が闇依頼で俺を暗殺しに来た落とし前をどう付けんだ? それと、このような問題が今後起きないようにどのような体制に作り変えるのか教えてもらおうか」
◆
「しかし、本当に上手く行くとは思わなかったぞ旦那様っ!! 私のお父様でもギルドは梃子でも動かなかったくらいだからなっ!!」
現在馬車の中で今回の経緯をドゥーナに伝えると、興奮気味にそう言うではないか。
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