第61話 むしろスッキリする



 そう言うと俺はストレージの中から学園長と同じ武器、しかしながらレベルをカンストさせた後に進化をさせ、さらにレベルをカンストさせ、というのを限界まで繰り返した『最終形態』の状態まで育て上げた武器を取り出す。


「な、何だそれは……っ!?」

「なんだって、お前と同じ武器だよ。ただ、俺のは限界値まで育て上げ、お前のは見た感じ進化すらさせておらず、レベルも殆ど上がっていないようだがな。どうせどっかのダンジョンからドロップしたアイテムなのだろうが、それにしてもこんなゴミを家宝だのS級だのと言うだけではなく進化させるところかレベルすら上げていないとか……ヤバ過ぎるだろ?」


 そして俺はそう煽りまくる。


 確かにゲームの世界ではゴミのような武器であってもこの世界ではS級と呼べるほどの効果と威力を持つ武器として評価される事は理解できる。


 それに、ゲームの世界のようにレベル上げや武器進化をしてくれる施設がある訳でも、レベル上げの方法や進化の方法すらこの世界ではまだ分かっていない可能性の方が高い上に、実際にそうだろう。


 しかしながら、だからと言ってこいつを馬鹿にしない理由にはならない。


 むしろ相手が俺が先に偉そうに武器の事についていかに凄いかという事でマウントを取って来たのならば、何も知らないという無知さ加減を馬鹿にしても文句は言えないだろう。


 そして学園長が装着した拳鍔と俺が装着した拳鍔は見た目こそ殆ど同じではあるのだが、漏れだすオーラや、色合いが異なり、明らかに俺の方が凄い武器であると分かる程である。


「な、何故だ……。こ、こんな事……あってはならぬ……っ!! さては貴様、偽物でこの儂を騙そうとしてやがるなっ!!」


 学園長は、恐らく俺の装着した拳鍔を見て本能では俺の武器の方が凄いと理解できたのだが、だからこそそれを認めたくなかったのだろう。


 だからこそ俺の武器よりも自分の武器の方が凄いという事を証明する為に、俺に殴りかかって来たのだが、俺はその学園長の攻撃に合わせて、俺も攻撃を合わせる。


 しかもただ攻撃を合わせるだけではなく、武器進化させる事によって行使できるようになるスキル【剛掌打】を行使する。


 すると、俺の攻撃を受けた武器は、耐えきれなかったのか粉々に砕け散り、当然学園長の拳から肘まで複数個所骨折して見ただけで気分が悪くなるような形になってしまっている。


 しかしながら俺はその学園長の腕を見ても可哀そうだとは思う事も無く、むしろスッキリする。

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