第51話 これから忙しくなりそうだ
その点に関してはドゥーナと結婚できた事は幸運と言えよう。
問題は今現在周囲の魔獣と往来する商人や乗合馬車の護衛程度しか冒険者としての仕事が無い事であろうか。
確かに、他の領地と比べて山や林に草原と様々な地形に囲まれているというのは冒険者としては恵まれているのだが、それでもダンジョンが近くにある領地と比べると圧倒的に魅力に劣ってしまうのは否めないだろう。
ならばどうするか?
新しいダンジョンを作れば良いのだ。
それも、この世界の冒険者に合った難易度のダンジョンを。
まさか、ストレージにゲーム時代のアイテムが収納されているとは、初めてその事実に気付いた時はビックリしたものだが、しかもそのアイテムを取り出して行使する事ができるのだから笑いが止まらなかったものだ。
そのアイテムとは課金ガチャでゴミ扱いされていた『ダンジョンできーる君』である。
アイテムの名前の通りダンジョンを作る事ができるアイテムなのだが、そのアイテムが出た当初はそこそこのだが課金ガチャが更新される度にインフレしていき、それにつられるようにイベントダンジョンもインフレ化していった結果『ダンジョンできーる君』が実装されて半年後にはゴミとなっていた悲しきアイテムであった。
発想自体は面白かったのだが、面白い止まりなのが残念なところである。
ちなみに作れるダンジョンはプレイヤーのレベルに応じて増えていき『ゴブリンのダンジョン』『オークのダンジョン』『サイクロプスのダンジョン』『ワイバーンのダンジョン』『ドラゴンのダンジョン』の順番で全五種類のダンジョンが解放されていくのだが、俺の領地には今のところ『ゴブリンのダンジョン』で様子を見て行けば良いだろう。
この調子でダンジョンを少しずつ怪しまれない程度の頻度と場所に作って行けば、数十年後にはここタリム領が冒険者の聖地となり、俺を騙しドゥーナを捨てたフォング家の経営する領地は『昔は冒険者で賑わっていた領地』となる事だろう。
俺はお人好しでもなければ聖人でもないので嫌な事をされると腹も立つし根に持つ。当然やられたら仕返ししたいという感情もある訳で。
さぁ、これから忙しくなりそうだっ!!
◆
「それで、オリバーはルーカスとかいう貴族の暗殺依頼を受けたっていうの?」
「あぁ、そうだ。一応これは俺なりにルーカスという人物を事前に調べた上で受けると判断した。しかしながらギルドに申告していない裏依頼である事は間違いないのと、まだ現時点ではルーカスに対しては悪徳領主という噂が流れていないから、パーティーに迷惑をかけてしまう可能性もある為俺だけで行うつもりだ」
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