第48話 これだからバカは困る

「おぉ、それならば大丈夫じゃ。ちょっと痛い目を見せて欲しい者が居ての、かくかくしかじかで調子にのっている小僧に痛い目を見せてあげて欲しくてな……」


 そしてオリバーは、内容次第では儂の頼みを聞いてくれると言うので今までの経緯をオリバーへ説明した上でルーカスにお灸を据えて欲しいというのを話す。


「なるほど……一応噂だけはルーカスについて聞いた事はあるのですが、まさかあのルーカスがねぇ……。噂では実力が無いくせに学年一位のダニエル君に噛みついてはボコボコにされている面倒くさく自己中心的な男性と思っていたんですが、まさかそんな男にあのフォング家であるドゥーナ君に慕われているとは……。金で半ば無理やり娶ったというのもあり、ドゥーナ君はルーカスの事を心の底から嫌っているものとばかり思ったんですがね……」


 やはりこやつも、ドゥーナがルーカスを慕っている事に疑問を感じてしまうのだろう。


 しかしながら儂からすればそんな事はどうでも良いし、大事なのはあいつら二人がこの儂に何をしたかという事実の方が重要である。

 

「それは儂もそう思っておったんじゃ。 だからこそ儂はドゥーナの一撃に反応が遅れてしまったんじゃよ……。一体どうやってあのドゥーナを懐かせる事ができたのか不思議でならないんだが、とにかくルーカスさえ生きるのが辛くなるような地獄を味合わせる事ができれば後は何をしたって構わない。それこそ、まぁそういう訳でどういった経緯かはしらないのじゃが儂の顔を殴ったドゥーナに関しても、ルーカスに地獄を味合わせた後ならば何をしてもかまわない。ただ、ルーカスを殺すのはこの儂じゃ。瀕死の状態でかまぬか儂の前にもってこい」

「まったく、貴族をボコって攫ってくるのですから報酬はがっつりいただきますよ」

「分かっておるっ! そもそもあいつが融資していた分を利子込みで耳を揃えて返せなどと言ったせいで大変な事になってるんじゃ。無視して突っぱねてやろうかとも思っていたのじゃが、あいつは腹立つことにギルドに融資返還を依頼してきたのじゃ。まぁでもそのお陰でギルドにお金を借りて返す事ができたのじゃが、これは言い換えると今ランゲージ家には学園がギルドを通して返還した多額のお金があるという事じゃ……。ならばアイツをボコってその金もついでに返して貰えばよい」


 そもそもいくら融資とはいえ貴族が金を返せとほざく方がどうかしている。


 他貴族に『あそこの家は近々没落するかもしれない』と思われてしまいかねないし、そうなっては周囲から貴族や商人たちが離れていき本当に没落する可能性があるというのに、これだからバカは困る。


 

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