第45話 俺の妻
そしてジタバタとのたうつ事で下半身の後ろ側で漏れた茶色いものがパンツの中でぐちゃぐちゃになり、ズボンから染み出るのだが、はっきり言って今の俺にそれを気にする余裕は無いほど腹が痛い。
「あぐぐぐぐぐぐ……っ」
「…………少しやり過ぎたようだが、まぁ命を取った訳でもないから許せ。一応、内臓が破裂して後で容態が悪化して死んだり後遺症が残ったりした場合面倒くさい事になるから回復魔術くらいはかけておくよ……って、失神しやがった……」
そして、そんな俺をみてルーカスが何か話しかけてくるのだが、それが何なのか理解できるほどの余裕もなく、おれは脂汗をかきながら失神するのであった。
◆
とりあえず、ダニエルの腹に一発拳をぶち込んだらゲロや糞尿をもらしながらのたうち回ったあとに失神したダニエルと、俺たちに向かって何かを叫ぶマリアンヌを無視して俺とドゥーナは一度帝都にある冒険者ギルドへと向かっていた。
「……良かったのか?」
「何がだ……?」
「いや、ダニエルはお前の友達だろう? そのダニエルが俺のせいでもあるのだがあんな状態になっているのに無視して俺について来て……。あれなら帝都の別荘を待ち合わせにすればわざわざ俺に付いてくる必要も無かったのだが?」
「あぁ、なんだそんな事か。正直いうとダニエルに関しては自業自得であるし、化けの皮が剥がれ本性を知ってしまっては助けようとも思わなければ友と思っていた事すら恥ずかしいと思ってしまう程だから助けようとも、マリアンヌが回復魔術行使して落ち着くまで側にいようとも、微塵も思わなかったし選択肢にすら入らなかったな。むしろ私は旦那様と一緒にギルドへ向かう方を選ぶ」
そしてドゥーナはそういうと、顔を赤らめながら俺の腕に、自分の腕を絡めて来るのだが、ドゥーナのお胸様が腕に当たるので、性欲を落ち着かせる為に素数を頭の中で数える。
「そんな事よりも旦那様……私の事を『俺の妻』と言ってダニエルに啖呵を切ってくれたこと、凄く嬉しかったぞ……っ!! その、旦那様さえ良ければもう一度私の事を『俺の妻』と言ってくれないだろうか?」
「ぐぬ……っ。 どうしてもか……?」
「あぁ、どうしてもだ……っ!」
しかしながら俺が必死に耐えている事を知ってか知らずかドゥーナは更に俺へ胸を押し付けてきて、先ほど思わずダニエルに対してドゥーナの事を『俺の妻』と言ってしまった事をバッチリと聞いていたらしく、もう一度言って欲しいと上目遣いでお願いしてくるではないか。
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