第40話 自分から崩れてくれるだろう
なので俺は学園長を煽る。
こんなガキ一人に感情を揺さぶられて怒りをコントロールできなくなるレベルの人間であるのならば、これで簡単に自分から崩れてくれるだろう。
そもそも俺が融資をするかしないかを決める事ができる立場である以上、この交渉事は常に俺が優位で進める事ができるのである。
その優位性をわざわざ相手に与えてやるつもりも無ければ、何の考えも無く融資を与えるつもりも無いし、こんな失礼な態度を取ってくる相手に融資をしてやろうという気にもならない。
正直言って今すぐにでもこの場から去ってしまいたいくらいである。
貴族としての横のつながりなど、こんな奴らとならば切れても良いだろうし、繋がってしまってはマイナスな事しか起こらないのは馬鹿でも分かる。
まぁ、前世の記憶が戻らない以前のおれのままであったならば『あの学園長がこの俺を頼り縋って来ているっ!!』と気持ちよくなって簡単に融資をしたであろう事が容易に想像できてしまう為、以前の俺はバカ以下だったんだなと再確認すると共に、そんなバカだと見下して学園まで呼び付け、変な知恵をつけて逆に見下されている事に怒ってくれる馬鹿も炙り出せたので悪いことだけではない……と、自分に言い聞かせる。
そもそも『復学』云々を話題に出さない時点でこの学園長は今の俺の現状を理解していると考えて良いだろう。
なんならそのままルーカスという存在自体が学園にとってデメリットでしかない問題児を復学させたいなどとも思わないだろうし、そのまま居なくなれば良いとでも思っていてもおかしくはないし、実際に思っているだろう。
俺が学園長の立場ならば自分でもそう思うので、それに関しては自業自得として受け入れるのだが、だからと言って融資についてと学園長の態度はまた別問題である。
「調子に乗っておると痛い目を見るぞ?」
「その言葉はそっくりそのまま返すぜ、爺さんよぉ。爺さんは融資を頂く立場であり俺は融資をするかどうか判断する立場というのを忘れてはいないだろうな? 俺の両親みたいに『他の貴族はこのくらい融資を頂いてますよ』やら『ランゲージ家ならばこれくらいの額の融資は余裕ですよね』などと煽てれば簡単に金を出すと思っているのならば出直して来るんだな」
「……今まで我慢してきたが、この若造が……目上の者に敬意も払えないような馬鹿がっ! この儂にこんな態度を取ってタダで済むと思わない事じゃなっ! 今儂に土下座して謝罪し、靴を舐めるなど誠意を見せない限りは許しはせんぞっ!!」
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