第39話 護衛騎士ではないか
◆
「それで、何故我が夫を呼び寄せた?」
今俺はドゥーナと一緒に学園長室の中にあるソファーにドカッと座りながら、机を挟んで対面に座っている学園長へと、何故かドゥーナが俺を呼んだ理由を問いかける。
ちなみにドゥーナは何故か俺の座っているソファーの横で立って学園長を見下ろしており、これではまるで妻ではなくて俺の護衛騎士ではないか。
しかしながら俺もその理由は気になるし、学園長に聞こうとおもっていたので学園長の返事を待つ。
「…………ふむ、ずいぶんと雰囲気が変わったの。ドゥーナよ。まさかあのルーカスと婚姻関係を結んでいる事にも驚きなのだが、まさかこの短期間の間にルーカスの事をかなり惚れこんでいるじゃぁないか。それは、ルーカスがドゥーナを拾ってくれたからか? …………まぁ、それは後で聞くとして、何故儂がお主の夫であるルーカスを学園へ呼んだか、という事だったの」
学園長はドゥーナに睨まれているにも関わらず、それを飄々と受け流し、なんなら軽くおちょくるような事をドゥーナに言いつつも本題へと入る。
「そもそもお前たちをこの学園へと呼んだのは何を隠そう融資をして欲しくてな」
「…………融資? 何故か聞いても? 正直言って融資するメリットが思いつかないのだが?」
そしてそのまま俺をこの学園に呼び寄せた理由を聞けば融資をして欲しいなどというふざけた理由ではないか。
「よせドゥーナ」
「……旦那様がそう言うならば一旦は引こう」
その理由にドゥーナがブチ切れているのが分かった為、俺はドゥーナが何かしでかす前に止める。
というか、今この場は学園長を相手に言葉の裏を探り会話をしながら味方だと思っていたドゥーナという爆弾が爆発しないようにしなければならないという、かなり神経を使う状況ではないか。
もし学園長が狙ってやっていたのだとしたらかなり腹が立つし、融資は断る方向で話を進める事を俺は決める。
「あのルーカスがのう……ふむ」
そんな俺を見て学園長は、先ほどまでの好々爺といった雰囲気から、切れ者の雰囲気へとガラッと変わるではないか。
その事からも先ほどまでは俺の事を以前までのルーカスだと見下して相手をしていたのだろう。
「食えない爺さんだな……」
「そういうルーカスこそ……まさか学園時代は猫を被り、この儂の目すら欺いていたとはのう……」
そして、年下の俺に欺かれていたという事実にかなり怒っているようで、怒りの感情も伝わってくる。
「それは良いのだが、融資をお願いする立場であるにも関わらず、そんな態度で良いのか?」
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