第38話 天才的な頭脳が自分でも恐ろしい


 それでも行く当てがなく、娶られる相手もいないと泣きついて来たのならばいつでも妾として受け入れてやるつもりでいた。


 そもそも貴族とはいえ獣人という人擬きが妾であったとしても俺の女になれるのだから、そう俺が思っている事すら感謝してもらいたい限りである。


 しかし、あのドゥーナというバカな女はルーカスと一緒に学園へ戻って来たと言うではないか。


 実際に俺が二人が一緒にいる所を見たわけではないのだが、それでも複数人の目撃情報があるので間違いないだろう。


 恐らくドゥーナは、足を失った事によって実家から捨てられるように追い出されたのだろうが、そこをルーカスに拾われでもしたのだろう。


 正直言ってそんなクズに縋るような低能な頭であったと娶る前に気付けて良かったと思う。


 そう考えればマリアンヌではなくドゥーナが足を失ったというのは幸運だったのかもしれない。


 そして学園へ来たという事は恐らくルーカスの目を盗んで俺の助けを求めに来たのであろうが、ルーカスの手が付いたゴミは妾にするのも正直な話気が引ける。


 そもそもルーカスなど関係なく他人の手が付いたお古を俺が娶ったり妾にする訳がないのだが、そこは俺が今まで演じてきたキャラクターのデメリットであると言わざるをえない。


 どうせあの雌犬は『優しい俺に助けを求めればきっと救い出してくれる』とでも勘違いしているのだろう。


 馬鹿な女である。

 

 しかし俺は少しだけ考え、ニヤリと思わず口角があがってしまう。


 これはルーカスから女を寝取って、俺はドゥーナを試食してから奴隷商人に売り飛ばせばいいのではなかろうか。


 こうすればルーカスからドゥーナを奪え、俺はドゥーナを抱け、奴隷商人から金銭を貰え、ドゥーナは浮浪者ではなくとして住むところを失わずに済む。


 まさに一石四鳥ではないか。


 なんと天才的な発想なのだろうか。


 なんならその後にドゥーナを性奴隷として買い取っても良い。


 奴隷ならば奴隷契約によって主人の事を外へ漏らす事も無いため、俺は仮面を被らずに欲望の赴くままドゥーナを抱くことができる。


 あぁ、俺の天才的な頭脳が自分でも恐ろしい。


「どうしたんですの? なんだか嬉しそうな顔をしておいでですが……」

「いや、今ドゥーナがルーカスと共にこの学園へ来ているらしくてな、急にいなくなったから心配していたんだが、またこうして友達と会えるのだと思うと嬉しくてな」

「…………そうなんですのね」


 そんな俺を見てマリアンヌが何故嬉しそうな表情をしているのか聞いてくるため答えてやるのだが、嘘は言っていないので問題はないだろう。


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