第36話 あのルーカスが学園へと戻ってくる
どうせ俺と一緒に過ごしていたいというのではなく、学友との挨拶をしたいのだろう。
俺と違ってドゥーナは学友も多かった記憶があるしな。
ドゥーナが学園から離れた理由が理由の為別れの挨拶もできていなかっただろうし、そして嫁いだとなれば恐らくドゥーナは学園へと戻らない可能性がある為、学友に別れの挨拶をする為に学園へと一度戻りたいと思っている可能性の方が、俺に惚れている為一緒に過ごしたいというのよりかは確率がたかいはずである。
というかそれ以外の理由が例えあったとしても『俺に惚れている為一緒に過ごしたい』という理由ではない事だけは確かであろう。
しかしながら、何故今更になって俺が学園へと戻らなければならないのか明確な理由が分からず、何だか気持ち悪くもあるのでその理由を教えて貰う為だけに学園へと一度戻るのも良いだろう。
今の俺の地位では学園長からの依頼を断るという事はできない為、どの道学園へと戻るのであれば戻る目的が無いよりかはあった方が良いに決まっている。
ちなみに絶対に断ることができないという事ではないのだが、まだまだ右も左も分からないひよっこ公爵である上に親が親なせいでまともな後ろ盾もない爵位だけ高い今の俺には、伯爵という権力と後ろ盾に横の繋がりもある学園長からの依頼を断る方が将来を見据えた場合デメリットの方が大きいだろう。
しかも今の学園長は昔の俺及び両親のイメージがある為ランゲージ家の評価は最悪に近いだろうがこれを機会に少しでもその評価を覆す事ができるかもしれないというメリットもあるのだ。
であれば我が領地及び領民のために少しくらい面倒くさくても学園へと戻る以外の選択肢はない。
それに、戻るだけならば主要キャラクターであるダニエルとマリアンヌに会う事も無いだろう。
そもそも手紙には『復学しろ』ではなく『一度学園へ顔を出せ』という内容なので自分からダニエル達がいる教室へ行く必要も無いしな。
そんな事を思いながら俺は屋敷に戻るとドゥーナと一緒に学園へと戻る準備をするのであった。
◆
あのルーカスが学園へと戻ってくる。
その噂話を聞いて俺は苛立ちながらもそれを表情に出す事は無かった。
所詮は噂話である以上そんなものに感情を揺さぶられるのは馬鹿らしいし、何よりも周囲から見られる俺の作り上げてきたキャラクターには負の感情を表に出すという行為は似つかわしくない。
それこそどんな奴、それこそルーカス相手であろうとも手を差し伸べる優しさを持っており、成績だけではなく性格までも非の打ちどころのない人格者、それが俺の作り上げてきた人物像である。
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