第34話 その内容に俺は顔をしかめる

「なるほど、損するよりもそれ以上にここタリム領にとって利益に繋がるのであれば実行に移す、という事か」


 そしてドゥーナは俺の説明で納得してくれたのかうんうんと頷いてくれている。


 とりあえず食料問題はもともと無かったのだが、これから人口が増えていく事を仮定すると、田畑を増やすべきだろう。


 その点に関しては街の外にある使われてない、かつ所有者の居ない平地や森林を俺の能力を駆使して耕して行けば良いだけなのだが、しかしながらただ増やせば良いという訳ではなく、田畑を管理でき作物を安定して育てる事ができる者がいなければ意味がない。


 なので俺は、現時点で結婚している農家の三男(三十歳以下)までは結婚すれば決まった大きさの畑を与えようと思っている。


 ちなみに三十歳以上に関しては、ガス抜きとして金銭を配るのと、一定の金額を支払えば田畑を与えるようにして何とか納得してもらう予定である。


 これで納得いかないのであればここタリム領を出て行って他の領地で頑張ってもらいたい限りである。


 というか、土地も財源も無限にある訳ではないのだからどこかで割り切らなければ領地経営などやっていけないだろう。


 それが今回に関しては現在結婚している農家の三十歳以下の三男までというだけである。


 独り立ちしていない者は家族と共にノウハウを教わりながら使えば良いし、結婚すればその畑を持って独り立ちをすれば良いし、農家相手かつ田畑として使うのであれば売っても良い。


 逆に農民以外に売る、または田畑以外の用途で利用した場合は売った側買い取った側両方を罰するようにするつもりである。


 そしてある程度他の領地からの移民と、食料や居住地などその他諸々の問題が落ち着いてきだした頃にタリム領の特産品を作り、広めていくつもりである。


 ちなみに現段階の候補は味噌、醤油、みりん、日本酒、そしてそれらを生かした日本料理を考えている。


「ルーカス様、お手紙です」


 そんな事を思いながら土魔術で道路を掘っている時、セバスが手紙を渡して来るではないか。


 その手紙を受け取り中身を確認するのだが、要約すると『学園へ一度戻って来い』というその内容に俺は顔をしかめる。


「何が書かれていたか教えて貰っても良いだろうか?」


 そんな俺の反応にドゥーナが気になったのか書かれた内容を教えて欲しいと言ってきたのでそのまま手紙をドゥーナへと渡す。


 するとその手紙を読んだドゥーナへはかなり怒っているのが見て分かる。


「こんな忙しい時に、それも領主である旦那様自らこうして手伝っている程忙しいというのに……学園へ来い……だと? 学園長は脳みそが腐っているんじゃないのか?」

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