第29話 感動している自分がいる
しかし俺の木剣はドゥーナの横っ腹に当たることはなく、ドゥーナの木剣によって止められたのでそのまま足払いを繰り出すのだがこれもまたジャンプされて避けられてしまう。
だが、ジャンプしたという事はドゥーナは今空中にいる訳で、流石に空中では移動する事はできないと判断した俺は、足払いの動きを利用してそのまま一回転する要領で更に木剣を横に薙ぎ払おうとするも、ドゥーナはそれを見越して既に魔術を詠唱しているのが見えたため、俺は木剣で攻撃するのを止めて縮地で移動し、再度ドゥーナの背後へと移動する。
するとドゥーナは器用に空中で反転して俺が放つであろう攻撃を受け止めようとするのだが、縮地に合わせて俺はスキル【残刃】を放ち、俺が縮地する前にいた場所から放たれた斬刃はドゥーナの背中に直撃した。
このスキル【残刃】なのだが、ゲーム内では攻撃技を縮地でキャンセルした場合、ボタンを押しっぱなしでその攻撃の残像を維持し、ボタンを離すと残像が動きキャンセルされた攻撃が放たれるという技である。
ゲーム内ではよく使ったスキルなのだが現実世界となれば『残像は残せるのか?』という疑問を抱きつつも行使してみたのだが普通につかえたようで、もろに攻撃を喰らってしまったドゥーナには悪いのだが、ゲームで良く【対人戦ルール】で使っていた技を実際に目にして、ちょっと感動している自分がいる。
ちなみにこの技なのだが対人戦にしか使わず、魔物相手には基本的に範囲攻撃を、今回周回したダンジョンのボスであるフェニックスに関しては、蘇生不可の追加効果がある魔術で倒していたため、実際にこの世界にきて使ったのは今日が初めてである。
そしてスキル【残刃】を喰らったドゥーナはそのまま地面へ落ちて数メートル転がって止まる。
「回復魔術を行使してやる──」
その光景を見て流石に女の子相手にやり過ぎたと思った俺は急いで回復魔術を行使しようと駆け寄るのだが、ドゥーナはガバッと起き上がると、顔を掠り傷と土まみれにしながらも興奮しながら俺へと視線を向けてくるではないか。
「なんだっ!? 先ほどの攻撃はっ!! 先ほど旦那様が使った技は私にも使えるのかっ!? 使えるのならば教えて貰えることはできるのかっ!? 教えて貰えることができるのならばいつから教えて貰えるのだろうかっ!? なんなら今日、今すぐ教えて貰っても私はかまわないぞっ!!」
「──まったく、一旦落ち着け。俺が使ったスキル【残刃】ならば教えてやるからまずは傷を治させろ」
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