第24話 依存しかけている
「いやまぁ俺たちの、第三者から見た関係で言えばそうなのだろうけど……」
「……私のような身体の人間を見るのも嫌だというのであれば、出ていくから言って欲しい。こんな身体では異性としての魅力を感じないというのも理解できているつもりだからな……」
そしてドゥーナはそう言うと、悲しみが混じったような笑みを浮かべるではないか。
その事から鑑みても恐らくドゥーナは今、俺に依存しかけているのだろう。
確かに、今のドゥーナの境遇を考えれば理解できないでもないのだが、それは『嫌いな相手に依存しそうになるくらい追い詰められている』程に、ドゥーナの心は弱っているのだろう。
「そうだな……、とりあえずフェニックスの尾はちゃんと手に入れてきたから安心して欲しい」
「………そうか、ありがとう」
なので俺はドゥーナを安心させてやる為にフェニックスの尾を入手できている事を伝えるのだが、ドゥーナは何故か一瞬捨てられた子犬のような表情をするではないか。
「とりあえず、せっかくだから俺の背中でも流してもらおうか」
そんな顔をされると流石に『出て行け』とは言えずに背中を流して欲しいとつい言ってしまうのだが、それを聞いた時のドゥーナの表情が明るくなったのであれば多少の羞恥心など我慢して良かった思うのであった。
◆
そして俺たちは何事もなく(俺は理性と戦いながら)ドゥーナと一緒にお風呂で汗と汚れを流し、魂の洗濯を終えると、まだ外は明るいため私服に一度着替えてからリビングへとドゥーナと共に向かう。
そこには予め何かあった時の為にセバスを含めた使用人を複数人呼び集めていた。
とは言ってもやる事はフェニックスの尾を使ってドゥーナの足を元に戻すだけなのだが、フェニックスの尾を使って失った足を戻せることができるのはあくまでもゲーム内での話であり、この世界ではまだ未知数である以上万が一のことを考えて何か起きても直ぐに対処できるようにと人を集めてはみたものの、やはり実際にドゥーナの足が治るまでは緊張してしまう。
問題も起きず、ゲームのようにちゃんと失った足が治ってくれれば良いのだが……。
「しかし良いのか? 私なんかの為に……フェニックスの尾などを使ってしまって……」
「一応これは俺の気持ちの問題、あの日魔獣に襲われた時に助けようともしなかった事への罪悪感を軽くするためでもあるから変に気を使う必要もない。それに、俺の妻だと風呂場で豪語したのであれば旦那が妻の足を治すのはさほど変でもないだろう。黙って受け入れろ」
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