第23話 頭を抱えそうになる
そこはやはり日本人故なのだろう。
そして俺はそのまま脱衣所まで行くと服を脱ぎ風呂場へと向かう。
流石に浴槽にはお湯が張っていなかったので水魔術と炎魔術を駆使してお湯を張ると、身体を洗ってから湯船に入る。
ちなみにこの世界なのだが、水の魔石と炎の魔石を使って水を出せ温度調整までできるシャワーなどがある。
当然我が家もその魔石を使ったシャワーを取り付けており、魔石の魔力が無くなった場合は業者を呼ぶか魔力量が多い人は自分で補充できる為便利なのだがいかせん値段が高すぎる為平民には手が出せず、結果貴族にしか広まっていない。
そして俺は浴槽に浸かりながらこれからの事を考える。
とりあえずフェニックスの尾は手に入れる事ができたので、これでドゥーナの足を治す事はできるだろう。
そうなれば実家に帰る事ができるかもしれないし、そもそも俺の妻として暮らす理由も無くなるのでこの家を出て行くだろう。
ドゥーナほどの実力であれば、傭兵でも冒険者でも余裕で暮らして行けるだろう。
これで、死亡フラグを立てられる可能性も少なくなるので、俺もドゥーナもお互いにメリットしかなく、なんとか丸く収まって肩の荷が下りた気分である。
俺にデメリットがあるとするならば嫁に逃げられたクズ男というレッテルが張られて噂が流れるかもしれないのだが、そんなもの、もともと他者からの好感度は最底辺なので今更だろう。
そんな事を思っていると扉が開く音がした後『ひた……カツ……ひた……カツ』とタイルの上を歩く特徴的な足音が聞こえてくるではないか。
「つれないぞ。帰って来たのであれば帰って来たと教えてくれても良いだろうが。いったいどれだけ私が旦那様の事を心配したと思っているんのだ……っ」
「…………いや、心配してくれるのは意外だしありがたいのだが、なんで俺がいるのに風呂場に入って来てんだ?」
その足音の主はやはりというかなんというかドゥーナであり、服の上からでも分かる大きな胸と下部を両の手とタオルで隠しながら近づいて来るではないか。
それでも隠しきれない部分から欠かさず鍛錬をして鍛え抜かれている健康的な肢体が見える。
「私たちは結婚式こそまだ上げてはいないが皇帝陛下の許可を得ている立派な夫婦関係にあるのだぞ?夫婦であるのならば同じ風呂に入ることなど別段おかしな事ではないだろう?」
流石に目のやり場に困る上に、俺がいると知っている上でドゥーナが風呂場へ入ってくる理由が思いつかなかった俺はそのままドゥーナに聞いてみたのだが返ってきた言葉に頭を抱えそうになる。
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