第21話 私は駄目な妻だな
そんなこんなで私はセバスさんと話をしながら旦那様にあげるプレゼントを選ぶ。
こうしてプレゼントを選んでいる時もそうなのだが、私は本当に旦那様の事を何も知らないのだなと改めて実感してしまう。
何故私は今まで旦那様の事をしっかりと内面まで見ようとしなかったのか。その事が今になって悔やまれる。
「本当に、私は駄目な妻だな……。旦那様の事を何も知らない、知ろうとしてこなかった……」
「そんな事、ルーカス様は気になされないでしょう。それに、これから少しずつお互いの事を知られていかれるのも、悪くないと思いますよ?」
そして私は気が付いたらその事を呟いていたらしくセバスさんに聞かれてしまうのだが、セバスさんには『これから知って行けば良い』と言ってくるではないか。
たったそれだけのことなのだが、少しだけ心が軽くなった。
そんなこんなで私は旦那様へのプレゼントを買い、屋敷へと戻ると、何故か使用人たちがセバスさんを見つけた瞬間血相を変えて近づいて来るではないか。
その事から流石の私もただ事ではないというのだけは理解できる。
しかし、余程の事がなければここまで使用人たちが血相を変えてセバスさんの元へと駆け寄らないだろう。
そこまで思考を巡らせた私は『もしかしたら旦那様の身に何かあったのではなかろうか』と不安になってくる。
「いったいどうしたのですか? みなさんそんなに血相を変えて……。もしかして、ルーカス様に何かあったのですか?」
「そ、そのまさかですセバスさん!! ルーカス様がこんな置手紙を残してお屋敷を出て行かれたのですっ!!」
使用人はそう言うと、セバスさんへ手紙を一つ渡し、それを私はセバスさんと一緒に読み進めていく。
そこに書かれていたのは、簡潔にすると『フェニックスの尾を取りに行くから少し家を空ける』というものであった。
その内容を見て私もセバスさんも使用人たちと同様に一気に血の気が引いていくのが分かる。
「これは……もしかしなくても私の為に……?」
「恐らくそうでしょう……。ルーカス様がどれ程の力を持っているのかは分からないのですがかなりの実力を隠していたのは事実でしょう。しかしながらフェニックスの尾となると話は別。そもそもどこで取れるかも分からなければ、例え入手できる場所が分かったところでどれほど危険な場所にあるのか分からない。何日かかるかすらも分からない……それはいくらルーカス様と言えど無謀としか……。何故我々、いや奥方様にだけでも相談してくれなかったのか……」
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