第18話 ここまでしてでも私を追い出したい
というか、それができればゲームでもドゥーナにわざわざフェニックスの尾で失った足を再生させるような面倒くさいイベントをこなさなくても回復魔術を行使すれば良い事になってしまうので、まぁだろうなといった感じである。
それに、せっかくゲームの世界へ転生して来たのだから、この世界を楽しむためにダンジョン周回をしたいというのも大きい。
というかこっちが本命まである。
自分のプレイしていたゲームの世界に転生した事に気付いた時も、転生したのがよりにもよって死亡フラグしかないキャラクターである事に絶望はしたのだが、それとは別にゲームの世界に来たことに興奮していたのもまた事実である。
そして、フェニックスの尾を取る為に、フェニックスと戦って勝たなければならないのだが、装備品が揃うまでは俺もフェニックスがいるダンジョンを周回していたものである。
そのダンジョンのマップを見なくてもダンジョンのどこに何があるか把握している、それこそ親の顔よりも見たダンジョンをリアルで体験する事ができるのである。
こんなの、興奮しない方がむりであろう。
「さて、確かもうそろそろダンジョンが見えて来るのだが……お、あったあった」
ちなみにフェニックスがいるダンジョンなのだが、何故かまだ帝国には発見されていないらしくダンジョン登録はされていなかった。
ダンジョン登録がされているダンジョンは冒険者ギルドで確認する事もでき、事前に登録されているダンジョンは確認したので間違いないだろう。
「では、このダンジョン一番乗りである俺が早速破壊し、さっさとフェニックスの尾を入手したら帰りますか」
こんなダンジョンに来て、サクッと終わらせる事などできない事は容易に想像できるため、予め『フェニックスの尾を入手したら帰宅する』というルールを口にして俺はダンジョンへと潜っていくのであった。
◆
ルーカスもとい私の旦那様は私の事を娶った事について寝耳に水であったらしくかなり動揺していた。
どうやら私の父親が罠を仕掛けたようなのだが、それは視点を変えると私の父親は『ここまでしてでも私を追い出したい』という強い思いが伝わってくる。
旦那様には、私の父親が私を押し付けたみたいになって申し訳なく思う。
それはそうと、学園で見てきたルーカスという男は、ダニエルに対していちいち突っかかってくるにも関わらず弱いくせに態度だけはでかく、実力が伴っていない分は権力を振りかざすという、まさに私の嫌いな男性像であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます