第17話 鬼糞面倒くさい事
そして、望んでいた結果ではないとはいえ俺の妻となったドゥーナをいつまでも『お前』と呼ぶのもどうかと思った為、旦那様と俺の呼び方を変えたドゥーナを見習って名前で呼ぶ事にする。
「……あぁ、ありがとう」
こうして、おれとドゥーナはぎこちないながらも夫婦となったのだが、俺はこれからの事、主に結婚式とか結婚式とか結婚式とか、それに関連したその他諸々をどうしようかと、ドゥーナに気付かれないように心の中で頭を抱える。
流石に公爵家の結婚ともなれば開かない訳にいかないよな……。鬼糞面倒くさい事になりそうだと現時点でストレスにより胃に穴が空きそうだ……。
◆
とりあえず、成り行きでドゥーナを娶ったのだが、だからこそ俺はフェニックスの尾を手に入れる事にする。
さすがに、いつまでも片足というのも不便だろうというのもあるのだが、それ以上に『助けられる可能性があったにも関わらず負けイベントだからと助けようとしなかった結果ドゥーナは左足を失った』ことと『しっかりと確認していれば俺の妻とならずに済んだ』という二つの重い罪悪感からか一日でも早く解放されたいという俺の自分勝手な考えによる結果なのだが、ドゥーナも無くなった足が復活するとなれば俺が勝手に行動した事については怒らないだろう。
結婚式? あぁ、お腹痛くなってきたから今は考えるのは止めよう。
このフェニックスの尾なのだが、一つで国が買えるとも言われている伝説級のアイテムであるのだが、当然ゲームをやり込んでいた俺からすれば伝説でも何でもなく『周回すれば低確率で手に入れる事ができるアイテム』でしかなく、その確率も十五パーセントと課金ガチャの当たり枠が出る確率から見ればむしろ高すぎる程の確率であると言えよう。
ただ、ゲームではスキルや魔術で味方の体力は回復でき、死んでも蘇生させる事ができる為フェニックスの尾自体はさほど重宝されておらず、素材創りのアイテムくらいしか価値は無い。
その為素材を作り終えれば高く売れるアイテムぐらいの扱いであった。
因みに今の俺のジョブは魔剣士でありドゥーナも武闘派の技を中心のジョブしか覚えない為回復魔術や蘇生魔術は覚えない。
そもそもこの世界がゲームの世界に酷似した現実であるのならば回復魔術を行使したところで失った足が生えて来るとは限らない。というか俺が読んできた魔術の本等で得た知識では一度失った身体の部位は再生しない事になっている。
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