第9話 領地再建計画
「本気だ。なんならそれだけではない。領民の為に子供は無償の学校を我がランゲージ家のお金で作ろうと思っている……どうしたセバス? 信じられない物を見るような表情をしているぞ」
「す、すみません……。しかしながらやはり信じられないと言いますか、なんと言いますか……」
「まぁ俺の両親があれでは信用できないのも無理ないのだが、そもそも領民から頂いた税金で私腹を肥やしていた今までの両親が狂っていただけだ。これからはちゃんと領民にいただいた税金を還元できるような形にしていこうと思っている。その為に今日はお前たちの知恵を借りるつもりで呼んだんだ。そして、徴収した税金を還元する案の一つとして学校の建設という訳だが、何も善意だけで小学校を作る訳ではない」
ここまで俺は一気に話すと、セバスだけではなく使用人たちまでが信じられないような物を見るような表情になり、次の瞬間今度は俺の言葉を聞き逃すまいと真剣な表情になる。
「と、言いますと?」
「一つは未来への投資だな。そしてもう一つは、ここの領地では子どもは無料で勉強ができるという噂が広まれば年々減少傾向にある我が領地の人口をプラスにできる一つのきっかけになるかもしれない。しかしながら、だからといって税金が高ければ本末転倒なので税金も減らす。まぁ、税金に関してはどう考えても高すぎだから学校を建設するしない関係なく下げるつもりではある」
そこまで言うと俺はセバスから視線をはずして、今度は使用人を見渡しながら話す。
「俺の考えはなんとなく理解しただろう? 次はお前たちの『この領地を立て直す考え』があるのならば教えてもらおうか。ちなみにどんな案であろうとも切り捨てたりクビにしたりはしないと誓おう」
そう俺が言うと、ここまでしてようやっとセバス含めた使用人たちが、俺が本気であるという事を信じてくれたようで、領地再建計画は早朝まで続くのであった。
◆
私はランゲージ家に仕えている執事である。
昔からこのランゲージ家は見栄や私利私欲の為にお金を使う傾向があり、それが年々酷くなっていくのを見ていつか誰かに殺されるだろう、最悪誰も殺さないのであれば私が殺そうか、等と考えてしまう程である。
そんなある日、やはり領民を締め上げてきた報いを受け、ここドミナリア領の領主であり公爵でもあるランゲージ家当主とその妻が何者かによって殺害されてしまうではないか。
私としては良くやったと心の中で思うのだが、だからといってランゲージ家には嫡男であるルーカス様がいる為まだ安心できない。
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