第7話 役に立つのだから皮肉なものである
そんな事を考えながら俺は領地へ帰る身支度を済まして行くのであった。
◆
「お帰りなさいませ、ルーカス様」
馬車に揺られて終日、ランゲージ家の領地へと到着し、実家へと向かうとランゲージ家の執事であるセバスが出迎えてくれ、俺の荷物を代わりに持ってくれる。
ちなみに俺の死亡フラグの中にはこのセバスに裏切られて背中からナイフで刺し殺されるという展開があるので何とか回避したいものである。
「それで、俺の父上と母上は……」
「残念ながら死亡されました」
「……そうか」
やはりというかなんというか、俺の両親は死んでおり、これから一度自室に荷物を置いた後、その両親の死体を安置している部屋へと案内されるそうだ。
そして荷物を置いた俺はセバスに案内されて両親の死体を安置している部屋へと向かう。
そこには、顔の原型が無い程にまで暴力を振るわれている事が見て分かる両親の死体があった。
しかし、顔の原型をとどめていいないのだけれども確かに俺の両親だと分かるこの死体は、もし前世の記憶が無いまま見てしまったのならば俺は領民たちに対して更に心を閉ざして今まで以上に領民を締め上げるような性格の人間に変ってしまう気持ちも理解できてしまう。
普段の不摂生で前世は死んだんだろうというのは理解できているのだが、それの不幸が今世では幸運にも死亡フラグを回避する為に役に立つのだから皮肉なものである。
「セバス……」
「はい」
「この後、領地の経営を見直していく。主要な使用人を全員会議室へ集めておいてくれ。一時間後に俺もそこへ向かうからそれまでには全員揃えるように」
「……かしこまりました」
そして、両親の死によって俺がそのまま家督を継ぐ(今は代理なのだが、追って皇帝陛下から正式にランゲージ家の当主とする旨が言い渡される)事になっているので今からできる事は一日でも早く変更した方が良いだろうと判断した俺は早速セバスに対して領地経営に関して主要なメンバーを揃えて来るようにと命令をする。
そもそも俺は今までこの家の使用人たちには興味が無かった、正式に言うと同じ人間とすら思っていなかったので名前も顔も覚えておらず、誰を呼べばいいのか分からない結果、呼ぶメンバーはセバスに丸投げとなってしまったのだが、これで良いだろう。
そして俺は指定した一時間後まで何を変更するべきか紙へ書いていると、気が付いたら一時間まで五分前になっていたので早速俺は会議室へと向かう。
その会議室の部屋へと入ると既にセバスが声をかけたであろう使用人たちが揃っており、一斉に俺の方へと視線を向けてくるではないか。
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