レポート
レポートの多い高校に通っていた。
通っている生徒がバカばかりだから本を読ませて、何かを書かせないといけないという教育方針だったのかもしれない。
文系の科目は本当にレポートが多かった。
レポートが試験の代わりにならないという点においては、大学よりもしんどかったかもしれない。
試験は試験で別にあったのだ。
今でもおぼえているのは、現国でやらされた小林秀雄の本に関する何かであった。
終わった後に「できねぇよなぁ。俺も自分が高校生だった頃にやらされてクソと思ったもの」とうそぶく教師には不思議と腹が立たなかった。私もクソと思ったけれど、そこらへん先生も一緒だから許されるだろう。
社会系の科目では新書一冊要約させられたあとに、担当教師は念入りにその学説を批判していった。
しっかりと読めなければ要約もできない。君たちは頭が悪いから、これくらいはできるように訓練しておかねばならない。
こちらもクソとは思ったものの不思議と腹が立たなかった。後に、網野善彦の著作とかも課題に出されて、こちらは批判ではなく色々と解説もしてもらえたりで、教養に著しく欠ける私たちがほんの少しでもまともに読み書きする能力と知識を得たのは先生方のおかげである。
腹こそ立たなかったが、大変なものは大変である。なにしろ、三学期制の一学期ごとに合計で原稿用紙三〇枚くらいでるのだ。
科目選択でやらかしたやつは五〇枚とかいっていたので、枚数だけに限って言えば、卒論くらいの分量を書かされていたのかもしれない。
まぁ、そんな授業の弊害として、私たちはペーパーテスト用の学力がまったくなく、どこに出しても恥ずかしいバカとして名を馳せることになるのだが、そのおかげか、大学に入ってからは、出来はともかくとしてレポートで苦労したおぼえはない。
今思えば、不思議ながらもそれなりに良い学校で、もし生まれ変わっても、もう一度同じ学校に……。
いや、入るわけはない。
今度は共学校に通って、甘酸っぱい青春を送ってやる! 男子校なんか、ぺっぺっ!
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