犬の大きさ

 家には中型犬が二頭いる。

 名を太郎丸(仮名)と次郎丸(仮名)という。

 中型犬であるのには私なりの理由がある。

 とはいっても、犬種は実家で飼っていたのと同じだから、後付でしかない。

 また、個人的なものでしかなく、犬は中型犬に限るなどという主張をするつもりは毛頭ない。


 小型犬でないのには寝相の悪い私が一緒に寝るからである。

 昔見た海外ドラマがトラウマのようになっている。

 詳しくは書かないが、愛しのお犬様に怪我などさせたくないので小型犬は選べない。

 小型犬はとてもかわいらしいが、ドッグランでにやにやとながめて我慢することにしている。


 大型犬でないのは制御する自信がないからである。

 ドッグランで見かける大型犬は誰もがとてもいい子だ。

 でも、これは飼い主の不断の努力によるもので生来のものではないことを知っている。

 学生の頃、アルバイトでいった家庭教師先で大型犬(の子犬)に噛まれまくったことがある。

 犬には噛み癖がある子もいれば、そのような癖がなくても何かの拍子に噛みついてしまう子がいることも知っている。

 うちの太郎丸(仮名)も小さい頃はけっこう家族に噛みついた。

 万が一にも外でそんなことがあっては人に対しても自分の飼い犬に対しても責任をとれる気がしない。

 それゆえいざとなったら身体をはってでも止められる大きさでなくてはならない。

 大型犬もやはりドッグランでにやにやとながめて我慢することにしている。


 ミックスの子を選ばなかったのは、どのくらいの大きさになるのかが、検討がつかないからだ。

 あまり大きくなると困るし、小さすぎてもトラウマシーンに怯えるのは嫌であるというのは、先にも書いたとおりである。

 

 というわけで結局、一〇キロ前後におさまる中型犬になったわけだ。

 どちらの子の両親も一〇キロ未満だから、ほどよい大きさである。

 そう考えて、後に太郎丸(仮名)、次郎丸(仮名)と名付けられることになる子たちを迎え入れた。


 どちらの子も元気に走り回り、よく食べ、よくり出した。

 肥満と言われたことがないのに、気がつけばどちらの子も親の倍近い体重になっている。

 たくましく育ち過ぎである。

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