うん十年前のセクハラ
新卒で入った会社は印刷工場だった。バブルがはじけてちょっとした頃。学生時代、絵を描くのが好きで専攻も油絵だったが絵やデザインで就職は難しい。同期もデザイン関係に就職出来た者は片手いかなかった。そんな中、印刷会社のデザイン部門に就職出来たのはラッキーだった。
その印刷会社でデザイン部門は出来たてホヤホヤ。今までデザインは外注していた。
自分を売り込みに来たデザイナーを雇いデザイン部門を立ち上げ1年足らずの部署。デザイナーの手伝いという名目で配属された。
市や県の印刷物を多く受注している会社で真面目で固めで面白味のないチラシやパンフレットのデザインの仕事が主だったがちょっとしたイラストや文字のデザインは毎日が楽しくてしょうがなかった。1ヵ月くらいまでは……
デザイナーは当時50才前後だったと思う。パッと見、今で言うイケおじ、おしゃれなおじさん。汚くないヒゲにダサくない七三分けの髪型。スマートでネクタイもおしゃれ。ザ・デザイナーみたいな?でもただのエロじじいとわかるまでにはそう時間はかからなかった。
小学校の教室程の広さの空間。
毎日デザイナーの上司と二人っきりの仕事。30近く年の離れた上司。中学生のお嬢さんもいたし私も父親のように思っていた。
ある日の出勤した時の事。
机の引き出しを開けると何やら黒い布が?昨日ハンカチでもいれたかしら?ひろげて見るとスケスケのひもパンティー?!声も出せずに固まっていると
「プレゼント♪」
とキモデザイナーが笑っていた。
今ならセクハラ一発退場なんだろうな〜。当時はセクハラという言葉もさほど浸透してなかったしパワハラ、モラハラなんて言葉もあったかどうだか。私も今なら
「あら嬉しいわぁ」
ぐらい言えたろうに。
この日を境に机の中には避妊具やら大人のオモチャやら入るようになった。
その後何も言えなかった私をデザイナーは無視するようになった。
出勤しても何も仕事も貰えずボーッと過ごすようになった。
ひと月ほどし意を決し社長に今の状況を伝えに行った。
しゃべってるうちに涙が溢れたが返って来た言葉は
「あなたが誘惑したんじゃないの?」だった…
私は1年もたずに退職した。くやしくて悲しくてやりきれなかったが若さもあり次の仕事もみつけて落ち着いた頃に風の噂でデザイナーがクビになった事を知った。
女子社員のスカートの中を覗いたそうだ。私の時は信じてもらえなかったのに…
その後赤字が重んだとかで会社自体、潰れた。
ざまーみろとしか思えない。
今だにデザイナーの顔を思い出すとキモさが蘇る。が、おばちゃんになった今となるとちょっかいを出して貰えてた頃が懐かしい。
くたばれクソ上司 高田華江 @chibifujiko
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