第15話「記憶さえ」

「ハープはどこにあるんだ」

「そうじゃの、リンゴ女神の宝物庫が怪しいの」

「分かった行こう」


あれれ〜

>あ、女神

いいわよ、あなたの魂胆はわかってる

>じゃあ

一つ約束よ、犠牲になってまで救わないこと、じゃないとその子は一生自分を呪ってしまうは

>わかりました

そ、じゃ、行ってらっしゃい


「行くぞ黒姫」

「わかったのじゃ主よ」


シンフォニーへのアプローチ開始

深層世界をロード中

魂の談話室、構築完了

ステイ・アンリミッテッド


「お、お兄?」

「ベルガモット!!」

「よかった、会えて」

「大丈夫か?」

「わからないは、ただどこまでも暗い闇にいるの」

「今すぐ、こっちに来れないか」

「わからないの、光もしないの」

「声の方に来てくれ」

「それもできないの、声が反響してて、どこからか分からないの」

「そんな!!!」

「大丈夫だよ、お兄、私は寂しくないから、お兄が生きてるならそれでいいから」

「そんな自分を犠牲にした優しさなんて、虚しいだけなんだよ」


「あれ?お兄、少し変わった?」

「ああ、少し、人を理解したんだ」

「寂しくないなんて、嘘よ、お兄、私を助けて」

「わかった、必ず助ける」


深層空間の混入を開始

これより1ヘクタールの次元送還を開始

魂の重みから21gの閉鎖域を確保

移送まで、カウント3

アブダクション・IN


「おにい!!お前は、ほんといつもいつも、俺を泣かせる」

「良かった、良かった!!」


魔術の乱入を検知

魔法窒素の遺棄を開始します


「あれ?・・・・」

「どうしたベルガモット!!!」

「私の体消えてる」

「いや、ここは天国だから魂だけ・・・・が・・・」

「違うぞ主よ!!!!」


「そうだなんで、ベルガモットは肉体のままここへ?」

「妾たちは、逆転移してるぞ」

「まさか、この魔術の乱入って」

「そうじゃ、妾たちが、暗黒世界に入ったんじゃ」

「じゃあ、妹が消えてる理由はなんだ?」

「主が再現世界に入ったから、魔術を取り戻した世界が、また動き出したんじゃ」

「じゃあ、また魔法のバランスが崩れて、生命がリセットされてるのか」

「そうじゃ、、、」


「じゃ、一体どうすれば」

「主よ、そもそも主の手はハイエナに喰われたはず、じゃから魔力などないはずなのに」


聞け、子らよ

>なんだ?

忘れたか

>主よ、こいつはアズカバンの竜じゃ

 >何だって?

いいか、子らよ、その男の体には、私の核が入っている

>核?

ああ、つまり、主の右手からではなく、肉質全てに我の力があるのだ

>じゃあ、俺が世界をまたリブートしてるのか

そうなるな

>どうして、妹は消える

それは、主はブラックボックスがない過去の世界にダイブしたからだ

つまりは、ブラックボックスのない未来だから、妹はそもそも生まれてもいないという事だ

>そんなの馬鹿げてる、だったらここにいる俺と黒姫はなんだって言うんだ

魔力の崩壊により世界線が狂ったんだ

>それで妹の世界線だけ、存在しないことになったのか?

そうだ


そんなのって・・・そんなのって・・・

「主よ、まだ諦めるでない、世界線を想像すればいいのじゃ」

「だがそれはどうやれば」

「あらゆる世界線にダイブして妹を見つけるんじゃよ」

「そんなの途方もないぞ」

「だが。やらねば、妹は死よりも過酷な、完全なる無の存在となるのだぞ」


子らよ、言い忘れたが

>なんだ竜

記憶からも消えることになるぞ

>そんな

時間はない、掴みたい未来があるなら、動くんだ

>わかった


「行くぞ黒姫」

「ああ、お供するぞ」

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