第13話「消えた腕」

「主、武器を再現してくれ」

「分かった、どんなのがいい?」

「そうじゃの、銃だと暴発の恐れもあるからの」

「だが剣も接近するから危ないぞ」

「何か手頃なものはないかの」

「じゃー戦車を出そう」


「なんじゃと!?」

「だから戦車だよ」

「いや、それは知っとる」

「お前はゲームでよく操縦したんだろ」

「運転はできなくは無いが、しかしなー」

「なんだ臆してるのか?」

「そんなわけなかろー、ほれ、生成するがいい」

「分かった」


天地を穿つ鋼鉄の鎧を我が元に宿せ

タンカーテイカー


「おお、」

「これはまた迫力があるの」

「だな」

「これはカモネギ戦車じゃの」

「なんだそれ?」

「知らんでいい、マニアだけに分かる言葉じゃ」


「じゃ、乗るぞ」

「分かったのじゃ」

「てか、狭い!!」

「当たり前じゃ、被弾しないようにミニマルになっとるのじゃ」

「そうか、なんか無駄にアツいな」

「銃器はロマンじゃ」

「人を殺す道具に思い入れがあるとはな」

「そうじゃの・・・」

「なんだ、だんまりか」

「ほれ、出発じゃ!」


「分かった」


「主よあれは、ナウマンゾウじゃ、」

「うわああ。でかい」

「撃つぞ」

「了解」


「当たったか?」

「ああ、仕留めたぞ」

「よっしゃ」


「どうやって持ち帰る」

「そうじゃの、大型トラックで運ぼう」

「おし、じゃあ出すぞ!」


あ、

「主、避けろおおおおおおおおお」

「グハ、これまさか」

「大丈夫か、」

「まさかあの像まだ生きてたか」

「違う、それはナウマンゾウの腹に入っていたハイエナじゃ」

「まさか胃袋が開いて、出てきたか」

「そうみたいじゃ、大丈夫か主よ」

「俺はいい、」


「そんな・・・」

「なんだ黒姫」

「主の竜の手がない、もぎとられたみたいじゃ」

「俺の手が、おい、これじゃ、トラックも出せない、魔法が使えない」

「それどころじゃいぞ、主よ、血が止まらない、そんなそんな」

「黒姫、ありがとな」

「何を諦めてる、生きるんじゃろ、妹の元に帰るんじゃろ」

「そうしたいけど、やばい、もう意識がないや」

「かずまああああああああああああ」


「なー黒姫。」

「なんじゃ」

「妹をよろしくな」

「このバカ、ばかばか!!!」

「じゃあな」


「かずまああああああああああ」

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