第18話
下校準備を言い渡されたあと教室は騒がしくなった。
俺は手早く帰宅準備を済ませて教室を出ていくことにした。
「西条は帰るのも早いなっ?!」
先生の声が聞こえたけど俺はそのまま歩いていくことにした。
スマホを取りだして見てみるとシロからファミレスに着いたってメッセージ。
俺は重力を操作して屋根を伝って最短で向かっていくことにした。
ファミレスに入ると昨日と同じ席にシロが座ってた。
「やほー」
対面に座って口を開く。
「事情が変わった。本体を潰さないとやばそうだ」
「やっとやる気出した?」
「やる気が出てるように見えるか?ウンザリしてるよ」
そう言いながら適当に料理を食べて俺はシロから情報を入手した。
で、気になってたことを聞いた。
「あんなにボコボコにされてさ。よくまだ冒険者がどうとかやってられるな」
俺が出来なかったことをやっているのはどういうことなのか聞いてみた。
「カオルちゃんに会いたかったからだよ。続けてれば会えると思ったから」
そう言ってシロは立ち上がった。
「行くんでしょ?地下のダンジョン」
「気が進まないけどな」
こうして俺たちは地下のダンジョンへと向かうことになった。
その道中のこと。
当たり前のようにモンスターが何匹か街の中にいた。
そして、住民に襲いかかっていた。
帰宅途中の他校の女生徒だったようだ。
「ガルゥ!」
俺は剣を振ってウルフを倒した。
更に歩いていこうとすると助けた人から声をかけられた。
「あ、あなたひょっとして強キャラさんですか?」
「俺がその強キャラってやつだったとしてそれがお前になにか関係あるのか?」
そう聞くと女は言った。
「あ、あのファンなんです!この前の桐崎さんの配信の切り抜きでファンになったんです」
「そういうの迷惑だからやめてくれない?ウンザリするんだよ」
勘違いしないように目を細めて視線を送る。
女の子は凍ってたけど、続いてこう言った。
「んひゃああぁぁぁ!!!!かっこいい!!!悪役みたい!」
そう言って逃げるように走っていった。
「へー、強キャラさんって呼ばれてるんだ。たしかに今のは強キャラっぽかったかも。強キャラってさ、性格終わってるほど、人気出ない?」
「知らないよ。こんなんで人気出るわけないだろ」
普通の神経してたらあんな対応されたら嫌いになることあっても好きにはならないだろ。
そう思いながら俺は地下のダンジョンへと向かっていった。
しばらく歩いてたはマンホールで立ち止まったシロ。
「よいしょ」
マンホールを開けるとその先は階段になっていた。
「こっから入れるらしいよ」
「先に行く」
階段をおりて行く。
後ろから着いてくるシロが口を開いた。
「ねね、強キャラさんでエゴサしたんだけど。カオルちゃんはしたことある?」
「俺がそんな事するやつに見えるか?」
そう言うとシロがスマホの画面を見せてきた。
「これさっきの人のSNSじゃない?」
そこには大人気SNSの画面が映ってた。
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やばっ。
話題の強キャラさんっぽい人に助けてもらっちゃった。
あの悪役っぽい感じ動画で見るより最高すぎるっ!
尊い!
めっちゃ鋭い目で見られて胸のドキドキ止まらないんですけどー?!
RT 4万 いいね 8万
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リプライの方まで表示するシロ。
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えー?!強キャラさんに会ったの?!
いいなー
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目を逸らした。
シロが続ける。
「大人気じゃん。へぇ、今強キャラさんって流行ってるんだー。掲示板でも専用スレッドあるじゃん」
「こっちとしては勝手に大人気にならないで欲しいんだが?異世界でうんざりしてるんだよ。周りからの期待にはさ」
そう言ってみるとシロは言った。
「カオルちゃん。大丈夫。おっぱい揉む?揉んでスッキリしよう」
「揉めるだけのデカさないだろ?」
「しどいっ!」
そんな会話をしていた時だった。
階段を降り終わった。
目の前には扉があって、その扉の前には金肉がいた。
俺に気付いて声をかけてくる。
「強キャラさんっ?!」
どうやら俺には気付いてないらしい。
同じクラスメイトでもこうして顔を隠すだけで分からなくなるものらしい。
ザワザワ。
金肉のパーティメンバーが口を開いていく。
「え?本物の強キャラさん?」
「ガチかよ」
「あ、あの写真撮ってもらっていいっすか?強キャラさん」
そう言って寄ってこようとしてたのを一蹴する。
「くだらん真似をするな。邪魔するなら誰であろうと排除して進む」
そう言って俺は寄ってきた奴らを退かして扉に進む。
やってることは最悪だと思うけど、後ろから声が聞こえてきた。
「くぅ……カッコよすぎだろ?」
「俺たちの助けなんていらないらしいぜ?さすが強キャラさんだ」
「うわ、やべぇ。強キャラさんの圧力はんぱねぇ、漏らしちゃったよ俺」
「汚ぇよwww」
扉を押し開けた。
扉の先には通路が広がってる。
その時になって金肉はシロに話しかけた。
「新見さん?」
「なに?金肉くん」
「強キャラさんと知り合いなのか?」
「うん」
「新見さんもかなり強かったけど、強キャラさんってどれくらい強いんだ?」
その時だった。
タッタッタッタッタッタッタッ。
ダンジョンの通路の先からモンスターが何匹も走ってきていた。
金肉が新見に話しかけた。
「新見さん、この数はきつい!指示を」
「え?指示?今の君たちに指示が必要なの?何も出来ないじゃん君たち」
「え?新見さん何を言ってるんだ?俺たちは戦え……」
ブン!
クリスタルブレイドを振った。
全てのモンスターが死体に早変わり。
それを見たシロが口を開いた。
「強キャラさんが強すぎて君たちの出番なんてないよ?」
俺が歩き出すと後ろから声。
「な、なんだよ今の」
「デタラメすぎるだろ」
「すげぇぇぇ!!!」
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