第13話 作戦開始!作戦終了!


体育館に着くと壇上にいたのは校長だった。


俺たちはパイプ椅子に腰を下ろした。

入った段階でかなり人がいて、自動的に後ろの方の席になった。


5時間目を潰して話をするらしい。

けっこう大事な話をするらしい。


チャイムが鳴ったら校長が話し始めた。


「えー。ダンジョンが発生して2週間ほど経過しましたね。そして現在もダンジョンは発生しています」


そのまま校長は続けた。


「ダンジョンの発生速度に消滅速度が追いついていないのが現状です」


ザワザワ。

騒がしくなった。


「今現在活動中の冒険者だけでは消滅が間に合わないというのが現状らしいのです」


俺たちを見回して校長は口を開いた。


「そこで、学生も冒険者になれるようになりました。これからは学生でもダンジョンに行くことができます」


ザワザワ。


校長は続けた。


「この中で自信のある生徒諸君は是非とも冒険者になってダンジョンに向かって欲しいのです!」


それだけのために俺たちを呼び出したらしい。


小声で水野に話しかけた。


「水野」

「なに?」

「あれの話終わったら起こして」

「え?」


俺は目を閉じた。


割と暗めな体育館なので、すぐに眠りにつくことが出来た。


「終わったよ」


水野に声をかけられて起きた。

他の生徒たちが体育館から出ようとしていたところだった。


俺達も外に出た。


んで教室に戻るとすでに6時間目が終わる時間になっていた。


机に目をやると見慣れない書類が見えた。


目を通してみると冒険者になることを申請するような書類だった。


「くだらん」


カバンに押し込んで俺は速攻帰ることにしたのだが、その時だった。


「西条?」


柔道部の金肉がやってきた。


「お前は冒険者になんねぇのか?」

「ならないよ。めんどくさい」

「そうなのか?俺を投げたんだ。お前ならきっといい冒……」


言いかけた金肉の言葉を遮った。


「くだらんよ。冒険者なんて」

「西条……」


そう言って脇を歩いていく。


その会話を聞いていた女子たちが話し出した。


「今の反応なに?」

「西条くんにも悲しい過去があったのよ」

「西条くんほんとに強キャラっぽくなってきたね」


竹本がやってきた。


「迎えに来たよ西条くん」

「朝の件か。それなら考え直せ。今ならまだ間に合う」

「違うんだよっ。間に合わないんだよ今やらないと。きっと西条くんは取り返しがつかないことになる」


金肉は俺たちの剣幕に押されて離れていった。


「私が西条くんを助ける。じゃないとこのままじゃ西条くんが廃人になっちゃいそうな気がして」


超真剣な顔をしている竹本。


超シリアスな雰囲気になっているが、話の中心にあるのは【おっぱいサンド】とかいう超バカみたいな単語だ。


ピクっ。

話を聞いていた水野が口を挟んできた。


「西条がどうかしたの?」


水野は続けた。


「西条がなにか事件に巻き込まれてるなら私にも手伝わせて欲しい。廃人ってなに?」


竹本は言った。


「私もよく分からないけど、西条くんが困ってるみたいなの」


俺は口を挟んでおくことにした。


「竹本が勝手に勘違いしてるだけだ。俺はなにもない」


そう言って歩いていこうとした時だった。


「待ってよ西条くん。おっぱいサンドは?」


ザワザワ。


クラスメイトたちが話し出した。


それから石野がやってきた。


「西条くん?あなたたち何をしようとしてるの?」


超真面目な顔をして聞いてくる石野。

竹本が答えた。


「委員長。西条くんなにか様子が変だと思わない?」

「事故前とは性格が変わったような気はするね」

「あの事故でなにか起きたんだよ。それで性格が変わっちゃった」


何を言っても無駄な気がしたから俺は無視して歩いていくことにした。


今日は椎奈の用事もなく一緒に帰れるらしいから一緒に帰ろう。



んで、どういうわけか。俺は今椎奈を含めて女子4人と共に俺の部屋に来ていた。


あの後全員俺に着いてきた。


みんながいろいろ話し合ってる横で俺はベッドに座ってた。

スマホが震えた。

画面を見るとそこに表示されていたのはこんなメッセージだった。


金肉:なぁ、竹本が言ってたおっぱいサンドってなんなんだ?まじめな話なのか?



無視してると丁度話し合いが終わったようだった。


竹本が言った。


「みんな、覚悟はできた?」


クソ真面目な顔で頷く女子たち。

石野たちは言った。


「本当ならこういうのは止めないといけないんだけど、おっぱいサンドにヒントがあるならやらないと」

「そうだね。おっぱいサンドになにかあるならやらないといけない」

「お兄ちゃん。もう、寝たきり廃人みたいなのはやめようよ」


それから全員が制服を脱ぎ始めた。


そのとき、俺は目の前の謎の光景に軽く引いてしまいスマホの操作をミスった。


プルルルルルル。どうやら電話をかけてしまったらしい。


ガチャっ。


『もしもし?西条?なにか、話す気になったのか?』


金肉の声。

しかし、イヤホンを繋いでるということもあってその声は俺にしか聞こえていない。


通話を切ろうと思ったときだった。


「おっぱいサンド作戦開始っ!」

「「「うん」」」


不穏な声が聞こえて振り向くとそこにはおっぱいサンドが4つ並んでいた。

下着姿だけど、シュールすぎる光景。


「なにやってんの……」

「おっぱいサンド」


竹本が答えた。


「どう?なにか思い出せそう?」


いや、何も思い出すことなくね?

俺は記憶喪失でもなんでもないんだから。


スマホから金肉の声が聞こえた。


『おっぱいサンド作戦ってなに?』


水野が口を開いた。


「見せるだけじゃだめ、実際に食べさせないとだめ?」


椎奈が頷いた。


「そうかも。みんなはそこまでしなくていいよ。ここは私がやるからっ!」


そう言って椎奈は寄ってきた。


「お兄ちゃん。召し上がれ♡」


ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。


そのとき、後ろからスマホで絶叫が聞こえた。


『西条?!なにを召し上がるんだぁぁぁぁぁぁ?!!!おっぱいサンド作戦ってなにっ?!』


その後に水野は言った。


「大丈夫。私のも食べていいから」


『おい?!西条?!あの氷の女王になんてこと言わせてんだ?!お前!!!お前の前じゃ砂糖の女王か?!』


俺の部屋はカオスを極めていくことになった。


ちなみにだが、俺は食べ物は無駄にはしないタイプだ。

異世界では食べ物に困った時もあったからだ。

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