この国大丈夫か?
とりあえずアニスに子供たちを任せることにする。
「ユーリ様はどうなさるのです?」
「……ちょっと、ね。あとは任せるわね」
「…はい」
さてと。それじゃあわたしの国に喧嘩を売った馬鹿なヤツらを、ちょいとばかし懲らしめようか。
◆ ◆ ◆
その場でユーリ様の姿が掻き消える。今回は逆探知できますね……わざとでしょうけど。わたしはわたしの仕事を成しましょうかり
「さて。子供たちを安全なところへ」
「「「はっ!」」」
兵士たちが馬車の状態を確認する。ユーリ様ならば、これだけの人数を一気に転移させることは可能でしょうが、わたし達には無理なので馬車をそのまま利用する。
……おそらく、子供たちに力を見せたくなかったから、わたし達に任せたのでしょうね。雪の華等も子供たちの目に入る前に消していましたし。
「あ、あの…」
「どうしましたか?」
おずおずと問い掛けてくる子供に丁寧に、怖がらせないよう優しく返答をする。怖かったでしょうからね。
「あの子は一体…」
「…暇を持て余した自由人です」
「…ほぇ?」
それ以外なんと言えばいいのですかね。兵士の顔が引き攣っていても言いますよ。あの方は自由人ですから。
……後で殴られそうですね。今から防御魔法練っときましょうか……一瞬で壊されそうですけど。
◆ ◆ ◆
「……まぁ、わたしも自分が自由人だとは思ってるし、今回は許そう」
そんなことを呟きながら、目的の国へと到着した。とはいえ、空から見ているだけなんだけど。
「…奴隷商はあそこか」
街の一角。目出しにくい、人通りが少ないところにその奴隷商はあった。
……うわぁ。こいつら、バレたらこの国ごと終わるぞこれ。
「この国の重鎮は何やってんだか…」
後で意見書を送ることを心に決めつつ、奴隷商の真ん前に降り立つ。
「な、なんだお前は!」
「うーん…助けにきた正義の味方かな?」
もちろん助けるっているのは誘拐されたヒト達だけど……この国を助けるって意味も含んでる。わかるかなぁ。分からないかぁ。
……さっさとやろう。
サクッと門の警備二人を気絶させ、扉を蹴破る。中は無駄に豪華な装飾が施された、見てるだけで気持ち悪くなるような感じだった。
「な、なんだ貴様はっ!? ここが誰の店か分かっての狼藉か!」
入って早々、豚がいた。身なりからしてこの奴隷商の主人だろう。大声で叫ばれても、こっちはアンタの事なんてこれっぽっちも知らんのだが。あぁ、でも
「誰の店かは知らんが、国に喧嘩を売った馬鹿な奴の店だと言うことはわかる」
「な、なに!? おい! このふざけたやつを捕まえろ!」
店の奥から五人ほどの男どもが現れる。予想より少ない。
……あぁそうか。誘拐するために外に人員を割いてたのか。だから本部には護衛が最低数しかいないと。
「…"眠れ"」
面倒なので、ただ一言だけ言葉を発する。すると騒いでいたやつを除く全員がバタリと倒れた。
……あんまりこの力は大っぴらに見せたくないんだけど、仕方ない。こっちには時間が無いんだ。
「な、なにをした!?」
「眠ってもらっただけだよ。あなたもお眠り」
眠らせ…というか、腹パンで気絶させる。興奮状態だったからね。仕方無くだよ。嬉々としてなんてやってないやってない。
さてと。邪魔者も居なくなったし、ちゃっちゃと助けてしまおうか。
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