攫われちゃったユーリちゃん
ある日のこと。いつものように仕事サボって街に出かけたらね。攫われちゃった☆
……うん。そう言えば、書類の中に最近誘拐事件が多発してるって報告あったなぁと思い出す。でもまさかわたしが遭遇する事になるとは思わなかったけど。誰も予想……いや、アニスならしてそう。まぁそれはいいや。問題は今の状況をどうするか、だ。
攫う手順としては、人目につかないような場所に来たわたしに袋を被せて、そのままさらって行くっていう何ともシンプルな方法だったよ。
いやさ、ちょっと暗い路地とかワクワクするからつい、ね。
しかもこの袋。魔法阻害素材で出来てるらしくて、魔法が使えない。
……まぁ、わたしくらいだったらこれごと焼き切れるんだけど。どうせなら本丸までいこっかなぁって。
「おい。付けられてねぇだろうな」
「ああ」
袋越しに二人の男の声が聞こえる。私はちょっと気分悪い…酔った。
「痛っ!?」
ドサッ!と雑に地面に降ろされた。もうちょっと丁寧に扱いなさいよね! 女の子の扱いじゃないわよ!
「意識刈り取ってねぇのか?」
「刈り取ったはずだが……起きちまったか」
いやそもそも刈り取れてませんよ。伊達に魔王やっとらんわ! ははは!
…面倒だから刈り取られた振りはするけど。
ドスッと結構強めに首筋を叩かれた後、袋から出されて首に何かを嵌められた。金属のような…これ、首輪だな。魔封じの首輪。
「おぉ。こいつは上物じゃねえか。高く売れるぞ」
「ああ。この容姿で、しかも魔族の子供は特に人気だからな」
……なるほど。こいつら、というか主犯は人間だな。魔族を奴隷とするか。胸糞悪いな。
「とりあえず放りこんどけ」
「うっす」
持ち上げられ、ドアが開く音がしたと思ったら、また落とされた。ちょっとは優しくしてよね!
「痛たた…」
「大丈夫?」
お。どうやらここには他にもヒトがいるようだ。目を開けると、そこは小さな部屋の中。窓は無く、薄暗い室内には首輪をした男女5人ほどがいた。
「みんな、攫われたの?」
わたしの問い掛けに対して、最初に話し掛けてきた子が静かに頷いた。そうか…
「ここから、消えた子。というか、連れていかれた子は?」
「え?えぇっと……ここは居ないはずだけど、他の部屋にも攫われた子たちいるから、わかんない」
困惑しつつもちゃんと答えてくれる。正確かどうかは今そこまで関係ない。可能性さえ知れれば、後でわたしがそれを調べればいいだけだ。
……しかし、これはなかなかやばいな。というか馬鹿なのか、人間は。この国に喧嘩を売ったも同然だぞ?
「まぁ、心配しないでいいよ。すぐに助けはくる」
「……どうしてそう言いきれるの?」
「わたしがここにいるから」
…やめろ。みんなして生暖かい目で見るな。
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