遊ぼ!

 から街に直接転移すると騒ぎになるので、一旦森を経由してこっそりと侵入した。


「おぉ…」


 街に入ると、色とりどりの花があちこちに咲き、様々な柄の旗が風になびいていた。全体的に、カラフルな印象に様変わりしている。


「お。、ここは初めてか?」


 キョロキョロと辺りを見渡していると、ふと横から声が聞こえた。てか嬢ちゃんって……まぁ、そうかもだけど。

 声をかけてきたのは、露店を出しているおっちゃんだった。見れば他にも多くの屋台が軒を連ねている。


「初めてって訳でもないけど、いつもとの違いに驚いてね」

「そうだったのか。まぁ、今回は誕生祝いも兼ねてるみてぇだからな。いつもより豪華なんだよ」


 おろ? 誕生日はまだ先のはず。

 ……あぁ、わたしがか。


「まぁ、楽しめや。こいつはサービスでやるぜ」

「いいの?」

「おう!」


 いいと言われたので、おっちゃんから肉串を貰ってかぶりつく。途端に口に広がる甘辛いタレの味。肉は少し硬いけどめっちゃ美味しい。


「美味し!」

「そりゃ良かった」


 ふむ。やっぱりこの雰囲気で食べるのがいいね。


 さて。おっちゃんの露店にバイバイしたところで、わたしについての説明を少し。

 まぁ、もう分かるよね。わたし、魔王です。

 ……不本意なんだけどね。


 というのも、魔王ってのは、1番強い者がなるんだ。だから実質、前任の魔王に戦いで勝ったものが次の魔王になる。

 …でね。わたし、その日飲みすぎちゃってさ。いつの間にやら魔王決定戦に参加しちゃってて。

 で、気付いたら魔王になってました。てへっ。


 ……うん。なんでだろうね。気付いたら前任の魔王が泣きべそかいてたんだよ。わたしほんとに何したんだろ…記憶ないんだけど。

 だから次の日に言われた時に辞退しようとしたんだけど……あのアニスに強制連行されましてね。で、今に至ると。


「…どうしてこうなったっ!?」



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