第17話 『本入部』と今後
「起立、ありがとうございました!」
「「ありがとうございました!!」」
月曜日、6限の授業が終わった。今日はこのあと、本入部の届け出とミーティングがあるとのことだった。
「和馬ー! ミーティング行こうぜー!」
「おう、ちょっと待ってくれ」
荷物をカバンに詰めていると、いつものように弘樹が声をかけてくる。俺は慌てて荷物を詰め込むと、弘樹と一緒に教室を出た。
「ミーティングは3-Cでやるってさ」
「へぇ、そうなんだ……」
俺たちはそんなことを話しながら、なかなか踏み入れることのない3年生のフロアへと向かう。
途中チラチラとこちらを見る上級生に少し萎縮しながらも、目的の教室へと着いた。すでに中には部員がちらほらと待っていた。その中には優斗の姿も見える。
--ガラガラ……
扉を開けて2人で入っていく。とりあえず端っこの方に座って、部長がくるのを待つ。
数分の間に部員が次々入ってきて着席していく。その後、部長が前の扉から入ってきた。
「集まってるか。よし、ミーティングを始めるぞ」
「「押忍!!」」
部長の姿が見えた途端、全員が姿勢を正して座りだす。俺も慌てて姿勢を正す。
「さて、とりあえずは……1年生!入部届は持ってきたか?」
「「押忍!!」」
部長の言葉と同時に1年生が全員立ち上がり、部長の方へと向かう。俺も立ち上がり1番最後尾に並ぶ。
「うむ……。頑張ろうな!」
部長は入部届を1つ1つ受け取りながら、全員に声をかけていく。どんどんと列が流れていき、俺の番が来る。
「お、お願いします!」
「伊藤君……。来てくれてありがとう! これから色々大変だけど、一緒に頑張ろうな!」
「はい!」
部長は笑顔を見せながらそんな言葉をかけてくれる。俺は返事をして先に戻ろうとする。
「あ、1年生は全員前に並んでくれ」
ふと部長が1年生全員を呼んで教卓に並ばせる。
「今年の1年は8人か。結構多いな。とりあえず自己紹介してもらおうか。よし、佐藤から!」
「押忍!」
指名を受けた弘樹が少し前に出て、自己紹介を始める。各々が色々な自己紹介をしていくが、俺は緊張していたため名前とポジションくらいしか聞けなかった。全員の自己紹介を上げていくと、
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大まかに俺の印象と共にまとめるとこんな感じ。
そして、俺の横、7人目が話しだす。
「え、えっと……。
驚いた。俺の他にも初心者が混ざっていたとは。体験の時に見かけてなかったことを考えると、初日に来ていたのかもしれない。
「次、伊藤君!」
「は、はいっ!」
そんなふうに考えていると、部長に名前を呼ばれて慌てて返事をする。慌てたせいか、頭の中で考えていた挨拶を全て忘れてしまった。仕方ない、アドリブで言わなきゃいけない。
「えっと……、伊藤和馬、です。自分もハンドボールは未経験です。クラブ紹介で見たプレーに憧れて入りました! よろしくお願いします!」
--パチパチパチパチ
勢いよく頭を下げると、拍手が聞こえる。頭を上げるとみんなが笑顔で拍手していてくれた。
「よし、これで1年を合わせると部員は23人になったな。人数も増えたことだし、今日は今後の活動について話そう」
そう言って部長は1年全員に座るように指示する。俺も元々座っていた席へと着席する。
「ちなみに、2年は6人、3年は9人らしいよ」
ボソッと隣に座る弘樹が教えてくれる。なるほど、2年生が少ないのか。
「2、3年はもちろんわかっていると思うが、今年の高総体は6月中旬だ。俺らはそこで優勝できるように向かっていく」
なるほど、大会に関しては陸上と同じく県大会優勝すれば先に進めるタイプのようだ。
「だが、その前に市民体がある。今年は5月中旬だから、そこに向けて練習をしていくことになる」
5月中旬、つまりあと1ヶ月ちょい。
流石に俺がスタメンを取れるとは思ってないが、その頃には実力が上がっていて欲しいと思う。
「とりあえず、今日はこのまま解散となるが、明日以降は一気に練習をハードにしていくので、心しておくように」
「「押忍!!」」
……ハードになっていくのか。着いていけるのかな……いや、やるしかないか……
俺は不安に思いながらも、解散して明日に向けて気持ち新たに決意するのであった。
-第17話 完
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