映画のお値段

Z「いや特別上映とかIMAXとか3D上映とか、そういうので2000円なのかなぁって思っていたら、普通の新作の普通の上映スタイルでも2000円だということについ最近、気付きまして」

A「ここ二、三年の値上げラッシュにもお気づきでないと? 優雅というか豪勢ですな」

Z「いや、それはもう大打撃ですよ。貯蓄に回せる額が減ってきて、半分意地で映画館で映画観て本買ってます」

A「コロナのせいとか言いますけど、コロナの前から景気は悪かったですしね。ウクライナ情勢で原油がとかロシアから輸入される穀物がとか円安がとか言いますけど、どうもこの国の経済が上向かない本質は別のところにあるような気がするんすよね」

Z「お、真面目だ」

A「茶化している場合でもないと思うんすけどね。戦争って小説とか映画とか全部奪われるってコトですよ」

Z「戦争の前に不景気で本が買えなくなる世の中が来そうで……」

A「映画は安くしろ派でしたよね?」

Z「安くしろは乱暴ですね。もう少し安ければ、月に一本は必ず観にいけたりするのかな、とか、高校生がテスト終わった後でみんなでわちゃわちゃ行ったりできるのかな、と」

A「安ければいいだと、映画産業に関わる人の賃金が上がらないんですが」

Z「それはそう。でも、映画って高いからって観に行かない人多いでしょ。いや、実際はあれだけのものつくるにはたくさんの人が関わっていて、お金も時間もかかるし、あれだけのものを1800円で楽しめるってのはすごいことなんですよ。観ればわかる。でも、観てももらえないのでは先細るというかなんというか」

A「じゃ、どうしろと?」

Z「お金落とせる大人が使っていくしかないのでは?」

A「それはお金持ちがってこと?」

Z「それもですけど、大人ならちょっと無理してでも文化にお金を落とさないと」

A「そんな余裕のない世の中ですけどね。特に病気すると」

Z「そうなんですよねぇ。もし入院でもしたらお金かかるでしょうし、文化にお金をとか言ってられないでしょうね。あんたが毎月、本とか映画にかけている金額は普通の大人は保険やら投資やらに使っているんだと言われたら返す言葉がなくはないけど、困りはするかなぁ」

A「本を買うことは広い意味で投資なんですけどね。投資って言葉、どうしてもお金儲けとイコールになりがちっすよね。しかも、最近はここに“楽して”とか“働かずして”がつく」

Z「本屋といえば語りたいことが……」

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