第38話 リリアーヌside8
「意味わかんない!それにコレットお姉様が頭がいいわけないでしょう!?」
「どの令嬢と繋がっているのか知らないが、常に疑惑の目を向けていた。おかげで外でも派手に遊べないし、やっと自由になったぜ」
「な、何の話……?」
「ハハッ、外にも出ない病弱な令嬢……本当は体調なんて悪くないんだろう!?嘘ばかりついてサボってばかりいるからあんなことになるんだ」
ディオンの言葉にリリアーヌは唇を噛んだ。
コレットを追い出す前に、リリアーヌはディオンとたくさん話をしていた。
その時のディオンはリリアーヌの理想の王子様だったのに。
(どうしてわたしの病気がもう治っていることを知っているの!?まだ誰にも言っていないのにっ)
リリアーヌはもう元気になって何年経つだろか。
それでも病弱のフリをしていたのは、その方が都合がいいからだ。
ディオンがリリアーヌの味方をしてくれないなんて信じたくなかった。
「……ッ、わたしのことを大切にしないとお父様とお母様に怒られて追い出されるんだからっ!」
リリアーヌがそう言うと、ディオンは目を丸くしている。
(これでコレットお姉様のように言うことを聞くようになるわ!)
そう言ってリリアーヌが自信満々に口角を上げるとディオンは腹を抱えるようにして体を小さく震わせている。
「──ブッ!アハハッ」
「なっ!」
「信じらんねぇ、やばいな……こんなのに騙される伯爵たちも、追い出されたコレットも可哀想だな」
「何ですって!?」
「こんなに幼稚で馬鹿だと笑えるな」
リリアーヌが怒りで顔を真っ赤にして震えいると、ディオンがこちらを睨みつける。
「バラされて困るのはどっちだよ?」
「そっちでしょう!?婚約を解消したら……っ」
「解消したらお前は姉の婚約者を奪い取った挙句、婚約関係を続けられもしない訳あり令嬢としてミリアクト伯爵家の評判はガタ落ちだ」
「……え?」
「お前と伯爵たちは社交界でなんて言われているのか知らないのか?」
リリアーヌが何を言ってもディオンは余裕の表情だ。
「見る目がない伯爵たちと非常識な我儘令嬢、伯爵家のお荷物……それから」
「なによ!それってコレットお姉様のことでしょう?」
「何言ってんだよ。全部お前のことだぜ?」
「は……?」
「もしお前の我儘で婚約の解消をすれば病弱と嘘をついて姉を追い出した最悪な令嬢と呼ばれるんだ」
「最悪な令嬢?わたしが!?ありえないわよっ」
「俺はバラされたところで痛くも痒くもない。父上に言えばどうとでもなるからな!それに俺は公爵家、お前は伯爵家……このくらい馬鹿なお前にも理解できるよなぁ?」
リリアーヌは逆にディオンに脅されているのだと今になって気づく。
常に自分が優位にいると思っていた。
けれどリリアーヌはディオンに騙されていたのかもしれない。
(わたしが悪いの!?絶対に違うわ。今に見てなさいよ!)
リリアーヌが爪を噛んでいるともうすぐパーティー会場につくようでディオンが「そろそろか」と言った。
「お前さぁ、もうこういうパーティーにあまり出ない方がいいぜ?お得意の仮病を使ってな」
ディオンの言葉にリリアーヌは目を見開いた。
「あとお前をエスコートする気はねぇから、俺に近づくなよ?」
「な、なんでそんな意地悪言うのよっ!」
「あんな大失態を犯して、よくそんなことが言えるな?俺もこんなやつが婚約者だなんて思われたくないんだよ」
「……ッ!?」
「お前はコレットの足元にも及ばないどころか、隣にいたくない。まぁ……今回のパーティーでそれも懲りるだろうけどな」
「意味わかんないっ!コレットお姉様なんて地味で何もできないじゃない」
「そう思っているのはお前と伯爵たちだけだろう?泣いて逃げ帰るならこの馬車使っていいからな」
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