第4話 異常?そんなもんねえよ

ここが病院...大きな修道院か何かか?

しかしそれにしては信仰する神の像が見当たらないな。


病院と呼ばれる場に着いた俺は、その施設の大きさに驚いた。

城よりは小さいが...なかなか大きなもんだ。


「行くわよ。」


俺は気の強い女性に言われるまま、ついていく。

ギルドで行うような手続きを終えて、少し待った後、部屋に案内させられた。

俺は白衣を着た男性の前に座った。


「まずは簡単に問診票の内容を確認していきますね。」


「ああ、頼む。」


まあ書いたのは俺じゃなく母親を名乗る人物なのだが。


「あなたの名前を改めて教えてください。」


「アレス=エングラムだ。」


なんかさっきからやたら名前聞かれるな。


「ふむ...。性別年齢は?」


「男で今年で20になる。」


「あなたの家族構成ですが、母子家庭で、母親とお姉さん、そして妹さんの3人で間違いないですか?」


んん?


「いや待て、俺には義理の姉がいるが、母親とは5歳で死別し、妹はそもそも居ないぞ?」


「なるほど....。わかりました、以上です。」


『ゔうっ。』


『あんた....。』


『お兄ちゃん...。』


なんか後ろが気になるが、まあいいか。


「なるほど、それでは、検査をしますのでこちらへ向かってください。」


指示された場所に向かいながら、俺は一つの機械に目を当てる。

何だこれ?

俺がじっとそれを見ていると....。


「きーくん、自動販売機がどうかしたの?もしかして飲み物が欲しいのかしら?」


「母さんそれは後よ。」


今、自動販売機と言ったか?

自動で売る?何を?


背中を押され、俺はまた別の部屋に案内される。


「こちらで横になってください。」


また見たことのない機械だ...。

一体何なんだここは?

とりあえず、俺は言われたように横になる。


少し横になっていると.....。


「もう結構ですよ。診察室へお戻りください。」


先ほどの部屋に戻ると、険しい顔をした白衣の男性が紙を見ていた。


「検査の結果ですが...正直異常は見当たりません。記憶喪失というわけでもなさそうですし....。もしかしたら記憶が混濁しているのかもしれません。」


「そんな...。」


おいおい、穏やかじゃねえな。

誰が記憶喪失だよ。

まあなんか状態異常的な何かにかかってるってことだろ?

おそらくは精神干渉魔法だな。


『魔法無効化』


ファァァン


身体が光るが、どうやら魔法の干渉は受けていないようだ。


「いっ、今きーくんの身体光らなかった!?」


「あたしも見た。」


「わ、私も...。」


ん?この人たち何驚いてるんだ?

ただ魔法使っただけだぞ?

とにかく異常はなかったしここにいる意味もないな。


「俺はいつも通りだし、身体に異常もない。ここにいるのは時間の無駄だ。」


「あっ、まだお話が....。」


「ちょっ、きーくん!?」


「輝汐!」


「お兄ちゃん!?」


俺は白衣の男性の静止を待たずに部屋を出た。


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