第3話 なんじゃあ!?ここはぁ!?

部屋に入った俺は3人から凝視される。

そしてうち一人は視線をそらし顔を覆いながら再び泣き始めた。

先ほど母と名乗っていた人物だ。


「あー、えっと、取込み中悪いが、とりあえずここがどこだか教えてくれるか?ついでにあんた達が誰かも知りたい。」


『,,,,,,,,,。』


何だこの沈黙は....。


「あの~....流石に無視は俺もきついぞ?」


「...まさかとは思うけど、あんた、自分の名前わかる?」


突然そう聞いてきたのは長い黒髪をおろした女性。

おいおい、流石にその質問はなぁ。


「わかるに決まってるだろ?アレス=エングラム、これが俺の名前だ。」


「ゔうっ、ほらね?やっぱり...、私たちの事どころか自分のことも忘れてるのよ...。それに自分の事、俺って...。」


「どこかで頭でも打ったのかしら?この子に限って厨二病...なんてことはないだろうし。」


「お姉ちゃん、お兄ちゃん大丈夫なのかな?」


サイドテールをしている女の子がそう言う。

失礼だな、俺は平常運転だ。


「大丈夫...とは言えないかもね、とにかく病院に連れて行きましょう。もしかしたら記憶喪失的な何かかもしれないわ。お母さん、運転はできそう?」


「任せて!きーくんの為だもの!」


涙をぬぐい、顔をバッとあげて何やら握りこぶしを作っている。

感情の起伏が激しい人だなあ。

てか病院てどこだ?


「そうと決まれば早速行くわよ。」


言われたまま外に連れ出された俺は、景色に驚く。


「なんじゃあ!?ここはぁ!?」


思わずでかい声が出てしまったが無理もない。

知らない場所であるのはもちろんだが、なんか柱みたいの建ってるし、特にこの金属+αで構成されているものに車輪らしきものが付いたこれは一体...新しい馬車か?


「ほら、あんたもさっさと乗りなさい。」


「お、おう。ところでこの馬車、馬がいないようだが...。」


「お、お兄ちゃん、車はエンジンで動くから馬はいらないよ?」


「エンジン?」


「う、うん。」


車と呼ばれたそれはエンジンというものを使って走り出す。

よくわからんが、ウマが居なくても走るらしい。

不思議なものだ、乗り心地も大分いい。

ん?てかこの子今俺にお兄ちゃんと言ったか?


「え?なに?君俺の事知ってるの?」


「えっと、それは...。」


『........。』


え、なにこの気まずい空気...。


「と、とにかく、その病院?て所に行けば俺の身に何が起きてるかわかるんだよな?」


「ええ、それまでおとなしくしてなさい。」


なんかこの人気が強いな。

勇者パーティーの魔法使い思い出すわ。


俺は静かにしつつも、外の景色に驚きを隠せないのだった。

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