端末アイオの記録③

アルビレオの端末アイオです。

子供ができました。

あ、ボクが産んだわけではないですよ。

トオヤが産んだわけでもないです。

惑星アーラで両親を亡くして孤児となった翼人の子を、トオヤが養子として引き取りました。

綺麗な金髪に青い瞳、背中に白い鳥の翼、容姿も整っていて、まるで地球人の創作に出てくる天使みたいです。


トオヤには、その子供の父親の思念が宿っています。

アルビレオには、母親の思念が宿りました。

その思念は端末のボクを介して、我が子や夫と交流しています。

子供の名前はチアルム。

両親の名前から2文字ずつ取って、トオヤが名付けました。


夫婦の思念が宿ったおかげで、トオヤとの距離が縮まったような気がします。

トオヤが、キスをしてくれるようになりました。

額や頬に、家族の挨拶キスですけどね。

それだけでも、愛情を注いでくれてるのが感じられて幸せです。

夜は子供を挟んで3人並んで寝ています。

3人でゆったり横になれるように、艦長居室のベッドをカスタマイズしました。

カエルムとルチアは夫婦のキスや営みをしそうなのに、しません。

身体の持ち主たちがまだなのに、先にしたら悪いと思ってるみたいです。

遠慮しなくていいのに。


今では乗組員たちは、トオヤとボクを夫婦として認識しているみたいです。

コロニーでは同性婚が推奨されていたので、トオヤとボクが男同士でも、移民団は普通のカップルとして扱ってくれています。

あとはトオヤの気持ち次第ですね。

まだ今は、【仕事の相棒】または【信頼する相手】という気持ちに、【家族への愛情】がブレンドされている感じです。

いつかその中の【家族への愛情】が、【妻への愛情】になったらいいなと思っています。



チアルムが移民団に加わって一番喜んだのは、乗組員で唯一の子供だったカールです。

彼はベガの防壁サイキックを学びつつ、自由時間はチアルムと一緒に遊んでいます。

プレイルームには、カエルムとルチアが生前に買い揃えていた玩具や本を置きました。

カールが持ってきた玩具は水に沈めたり浮かべたりして遊ぶ物なので、大浴場に置いています。

2人はそれをシェアして遊んでいます。

カールとチアルムはすっかり仲良くなったので、プレイルームの隣に昼寝部屋を作りました。

おかげで、寄り添って眠る無邪気な天使たちが見られるようになりましたよ。

チアルムは白い翼があるから、まさに天使そのものです。

カールがたまに寝ぼけてイルカ姿に戻っちゃうんですが、チアルムには良い抱き枕になっています。

スベスベモチモチのイルカ肌は、抱き枕にピッタリですよ。

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