第二幕ー29『追憶5』
清花の自殺未遂事件以来、私たちは今まで以上に距離を置いた。車間を詰め過ぎて衝突しないように。悲しい事故を起こさないように。しかし、距離を置けば置くほど、悠介に対する恋慕は色濃くなり、清花に刺された楔を忌々しく思うようになった。三人がまたしても同じ学校に進学したのは、偶然であり必然であった。「都立
入学式の日は、四月だというのに風が強く肌寒かった。私たち三人が揃って会話をするのは久しぶりのことで、式を終えた私たちは、まるで、仲の良い幼馴染同士のように笑顔で話をした。そんな私たちの所に、学校側と契約を交わしているというプロのカメラマンが、卒業アルバムで使う写真を撮らせて欲しいと言ってきた。私たちは二つ返事で了承し、そしてこの写真は、私たちの三人が一緒に写る最初で最後の一枚となった。
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