第二幕ー9
ママの献身的なサポートのおかげで、私は、よく笑い、よく喋り、いろいろなことに興味を持つ明るい少女へと生まれ変わることができた。徐々に外の世界や人たちに興味を抱くようになり、パワーを持て余していた私を見て、母は、私をプリスクールに通わせたらどうかと提案した。四歳でプリスクールデビューは遅過ぎるし、環境に慣れずに辛い思いをさせたくないという気持ちからパパは反対したが、最終的には、私の気持ちを尊重することになり、私はプリスクールデビューを果たした。ママが英語を教えてくれたから、まわりの子たちとのコミュニケーションで困ることはなかった。皆で歌を歌ったり、ダンスをしたり、絵を描いたり……お友達もたくさんできて、毎日が新鮮で楽しかった。でも、一番楽しかったのは、ママがお迎えに来てくれた後だった。ランチはいつもママと一緒に食べた。お店でお寿司やピザを食べることもあれば、ママお手製のお弁当を持って公園でプチピクニックをすることもあった。週に何日かは、ゴハンを食べた後、ショッピングに出掛けたり、映画を観たりした。中でもいちばん楽しかったのは、ママと一緒にネイルサロンに行くことだった。
ママのネイルは、レモン色だったり、空色だったり、ハート色だったり、ミックスキャンディーみたいに、いつもキラキラしていた。きっと、私もママみたいな綺麗で優しい大人になるものだと思っていた。
「ねえ、ママ、綾芽はいつになったら、ママみたいなキレイなネイルになるの?」
ときいたら、ママはにっこり笑って、
「ママのネイルが綺麗になる魔法を見てみたい?」
と言った。そして、初めてママと一緒に行ったネイルサロンで、私は、魔法使いみたいなネイリストさんの魔法を見て虜になった。マシンで削られてママのネイルが粉だらけになった時はびっくりしたけれど、サーフボードみたいな形をした道具でネイルの形を綺麗に整え、透明な絵の具を塗ると、さっきまで粉だらけだったママのネイルが艶々と光った。そして、私が選んだいちごみるく色の絵の具を塗ったら、あっという間にママのネイルがキラキラと輝いた。ママに、「私もやりたい」と言ったら、ママは、「綾芽がもう少し大きくなったらママと一緒に魔法かけてもらおうね」と言った。それから、私は、ママがネイルサロンに行くときは、いつでも一緒に着いて行ってネイリストさんの魔法をじっと観察していた。あまりにも真剣に観察している私を見て、ネイリストさんは、
「この子は、大人になったら、きっと、超一流のネイリストになるに違いないね!」
と言った。
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