第一幕ー27
「うちら、日曜日、三人で駅前にできたタピオカのお店に行こうって約束してたんやけど、綾芽、
中学卒業まで大阪で暮らしていた紗理奈が、標準語など今更喋れるか、という気合いの入った大阪弁を披露した。
「ねえ、悠介ってレギュラーで試合出てたんでしょう? 本当は、うちらも応援に行きたかったんだけど、綾芽が来て欲しくなさそうだったから遠慮したんだよね。清花は、試合観に行ったの?」
「う……うん、まあ……ちょっとだけだけど」
「清花はいいなあ。幼馴染の絆ってめっちゃ強いやん! うちらも、綾芽の幼馴染になりたいねん、な? 瑞樹?」
「うん! 本当、清花と悠介が羨ましいよ。だって、綾芽、清花と悠介のことめっちゃ大切にしてるじゃん! うちらだって、綾芽のこと大好きなのにさあ。出逢ったのが遅かったよねえ」
「何、妻子持ちの男の愛人みたいなこと言うてるんや」
紗理奈の突っ込みで、一瞬だけ場が和んだ。
「私思ったんだけど、綾芽って、もしかして悠介のこと好きなんじゃない? だってさ、綾芽、告白しに来た男たち滅多切りじゃん! この前なんてさ、サッカー部のエースの三島先輩に告られたのに、にべもなく断ってたじゃん! 三島先輩って言ったらさ、超絶イケメンで、うちの学校一のモテ男じゃん? それを一刀両断するっておかしくない? 男嫌いか、百合か、他に好きな男がいるかしか理由考えられなくない?」
「ほんま、三島先輩と綾芽なら、誰もが羨む美男美女カップルになったのに、もったいない。悠介もさ、見た目はぼちぼちやけどさ、綾芽と釣り合うほどいい男かって言うと、そこんところ疑問やんなあ」
オマエらに、悠介の良さがわかってたまるか! そう思いながら、私は、瑞樹と紗理奈の会話を、少しの優越感と少しの哀憐をもって聞いていた。
「ねえ、清花! 綾芽のこと悠介に訊いてみてくれない?」
「私が?」
「うん……だって、うちら、殆ど悠介と喋ったことないし、もし何か知ってたとしても、うちらにほいほい喋ってくれそうもないしさ。幼馴染の清花になら教えてくれると思うんだよねえ。ね、お願い!」
こうした経緯で、私は、約一年ぶりに、まともに悠介と話をすることになった。
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