第一幕ー2
「そうか。俺は、ただの癖だと思ってたんだがな……」
中島は、眉間に手を当て、くっきりと刻まれた縦皺を指でなぞってみた。長年、警察という巨大組織の駒として我武者羅に働き、大切なものを沢山失ってきた。きっと、何かを失う度に、深くくっきりと刻まれていったのであろうその皺は、今では中島のトレードマークとなり、「眉間刑事」などという異名で呼ばれている。
二人の刑事は、それぞれのアンカリングでスイッチを入れ、『反省文』なるものに書かれている内容を食い入るように読み込み頭に入れた。
「有真、お前は、この『反省文』についてどう考える?」
「筆跡鑑定は?」
「マルガイの
「『反省文』っていうタイトルからも、マルヒの
そう言いながら、内海は、生欠伸をした。
「『きな臭い』っていうのは、どのへんからそう感じたんだ?」
「中島さんは、子どもの頃、親や学校の先生に『反省文』書かされたことってありますか?」
「ずいぶんと遠い昔のことで記憶が定かじゃねえが、けっこうな悪ガキだったからな。書かされたと思うぜ」
「やっぱり……」
「何が、やっぱりなんだ?」
「いえいえ、何でもないっす。中島さんが、僕の予想通りヤンチャな子供時代を送ってこられたと聞いて、あまりにもそのまんまなんで、つい、心の声が口を衝いて出てしまっただけっす」
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