第46話 リーヌス(ライムント視点)

 アーベルからの連絡で私は慌ててバウムガルテン国王に飛んだ。


 そこにはアーベル、エジンバラ、そして太王太后様が待っていた。


 私はアーベルと太王太后様から大体の話を聞いた。


 ちょうど、その時、エデルガルトからも連絡が来た。


 私は魔道具を使い、クラウベルクにいるエデルガルトにも私達の話に参加できるようにした。


 エデルから聞いたクラッセン王の歪んだ思いには腰が抜けそうになった。


 太王太后が口を開いた。


「キーマンはマティの孫の魔導士ね。なんとか会えないかしら?」


 アーベルが私の顔を見た。


「移動魔法で飛んで誘拐するとか?」


 魔道具に映るエデルガルトの声がした。


「無理よ。凄い魔導士なんでしょう?」

「でも、ライだって天才魔導士でしょう?」

「それはそうだけど……」


 確かに私は天才魔導士だと言われているが、自分では天才かどうかよくわからない。ただそいつに負ける気はしない。


「じゃあ、ここに連れてこようか。そのマティーアス様からどんな話を聞いているか聞きたいし、クラッセン王のことも聞きたいよな。失敗したら、むこうにはリーゼがいるし、なんとかなるだろう」


 私が天才ならトルデリーゼは鬼才だ。あれは人間の域じゃない。あいつは今、クラッセンに潜入しているから、なんらかの工作をしているはずだ。


「とりあえず、クラッセンに行ってくる。みんな、私が戻るまで必ず精神拘束魔法封じの魔道具を装着しておいてくれ。その魔導士はどんな魔法を使うかわからんが、精神拘束魔法は普通に使える気がする」


 まぁ、行くしかないな。


「ライ! 危なくないの? 無理はしないで」

「大丈夫。なんとかなるさ。行ってくる」


 私はクラッセンに移動魔法で飛んだ。


◆◇ ◇


「もう、いきなり来るからびっくりしたわ」

トルデリーゼに叱られた。


 私が飛んだ場所はクラッセン王国の地下にある我が国の影の詰所みたいなところだ。地下深く結界を張り、誰にもわからないようにしている。ダウム家の力の凄さを感じる場所だ。


「みんなにクラッセン王の側近の魔導士を誘拐してこいと言われたんだ。だから来た」

「クラッセン王の側近の魔導士って、前バウムガルテン王の兄上の孫のこと?」


 さすがトルデリーゼ、そこまで掴んでいたか。


「あぁ、そいつが、参謀らしい」

「違うわよ」


 え? 違う?


「今は参謀じゃないわ。ふたりは分裂したわよ。というか、私が分裂させたわ」


 トルデリーゼはふふふと笑う。


 どういうことだ。


「リーヌス、来て」


 え? ここにいるのか? どういうことだ。だめだ頭が上手く回らない。


 奥から黒いローブを着て、フードを頭からすっぽりと被った背の高い男が出てきた。


 リーヌスか?



***

短くてすみません。リーヌス登場です。

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