第31話 義姉のこと(ローザリア視点)
私はバウムガルテン王国の王妃、ローザリアと申します。
国王の夫、アーベルと娘のエルノスティーネ、息子のアルフレッド、リュディガーの5人家族。
私はもともと夫アーベルの兄、エアハルトの婚約者でした。
小さい頃から王子妃教育、王太子妃教育、そして義姉のエデルガルト様と一緒に何故か帝王学の教育も受けました。エデルガルト様はとても優しい人で、留学から戻ったあと、私とエアハルト様と一緒に帝王学を受けたのですが、私のわからないところを教えてくれたり、サボりたがるエアハルト様のお尻を叩いたりしながら厳しくも楽しい時間を過ごしました。
私が学園の3年になった時に、男爵令嬢のミア様が編入してこられ、私の婚約者であったエアハルト様と親密な関係になられたようでした。
そして学園の卒業パーティーでエアハルト様から婚約破棄されました。
私が途方にくれていると、エデルガルト様はサクサクとミア嬢を捕らえ、エアハルト様を友好国の第?王配に決め、送り出し、私を当時、第2王子だったアーベルの婚約者にスライドさせてくれました。
私は本当は子供の頃からアーベルのことが好きだったので、心の中で「よっしゃー!!」とガッツポーズをしました。
「ローザ、ごめんなさい。あなたには嫌な思いをさせるわね。アーベルが成人したら国王になってもらうわ。あなたは王妃。それまで私が国王代理としてこの国を建て直すわ。この国の王妃はあなたしかいない。アーベルとこのバウムガルテン王国はあなたにかかっているの」
エデルガルト様が私を呼び出し、手を取り握りながら目を見つめて話す。圧が凄くてまぶしい。「はい」以外の言葉は出なかった。
それからエデルガルト様は大胆な改革をしていった。私が王妃になる頃には改革も落ち着くだろうと思っていた。
私達が結婚し、国王と王妃になったら、エデルガルト様はクラウベルク王国に行くはずだったのに、アーベル様が国王にはならないと言い出し、議会まで開き、エデルガルト様はそのまま続投し、女王になることになった。
「とにかく仕方ないから少しやるわ。でも私はライと結婚してクラウベルクで暮らしたいの」
義姉は謝る私の肩をポンとたたいた。
そして在位1周年のパレードのため、馬車に乗り込もうとしていた時、義姉はミア嬢に刺された。
なんとかライムント様が魔法で死ぬことは避けたけど、エデルガルト様は眠ったままになった。
ずっと目覚めないエデルガルト様の傍にはライムント様がいた。ライムント様は浄化魔法をかけ、義姉がいつも清潔でいられるようにしたり、回復魔法をかけ続けたり、手足を動かして筋力が落ちないようにしたりしていた。
「ライ、もう姉上がこの状態になってから10年経つ、やっと気がついたがまた眠ってしまった。私はもう目覚めないような気がする。哀しいが諦めて前を向いた方がいいのではないか?」
アーベルが突然そんなことを言った。私は耳を疑ってしまった。
まだ生きている義姉を殺そうというのか?
「バカなことを言うな!」
ライムントは凄い勢いで怒っている。そりゃそうだろう。私も怒っている。義姉は生きている。絶対に諦めないわ。
「明日、姉上を葬ろうと思う」
「そんなことはさせない! 誰に言われた?」
「エジンバラだ」
エジンバラはアーベルの側近だ。アーベルがものごころついた頃からずっとアーベルの傍にいる。
義姉とも仲が良かったはずなのに、何故エジンバラはそんなことをいったのだろう?
次の日の朝、義姉は侍女のメアリーとともにベッドごと姿形もなく消えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます