第27話 会議(トルデリーゼ視点)
とりあえず、エデルガルトが眠っている間に私はライムント殿下と陛下、妃殿下に、私の記憶についての話をした。3人は信じられないような表情だった。それはそうだろう。私だって信じられない。
でもそれは全て現実なのだ。
「しかし、それでは、君が言う世界ではエデルは陛下の娘として転生していた? しかも生まれた時から記憶があったと?」
ライムント殿下は不思議そうな顔で私を見る。
「そうよ。7歳の時に魔法学校に入る為に、クラウベルクに来たの。もちろん、陛下や妃殿下は直ぐに見抜いたわ。ライムント殿下とは年が離れているから、ファビアン殿下やハウル殿下と結婚してほしいわ〜と妃殿下は言っていらしたわ」
「なんだそれ? そんなこと絶対許さない。エデルは私の妻になるんだ。それじゃあ君は?」
ライムント殿下は訝しげだ。
「私は呪いで永遠の9歳だったから、エデルの警護を陛下から命じられたのよ。私とエデル、ハウル第2王子、そしてクラッセン王国からここのアルフレッド殿下の婚約者としてバウムガルテンにきた、テレーザリアの4人は一緒に魔法学校で学んでいたの。ある日にあなたがエデルを呼び出して、結界を張って、エデルをどこかに連れて行ったと思ったら、あなたに化けた誰かだったらしくて、あなたは真っ青になっていたわ。そのあと、現状から考えて、エデルを連れ去ったのはクラッセン王国だということになり、クラッセン王国と一戦を交えることになったの。クラウベルク王国が加担したからあっという間に決着はついたけど、エデルは見つからなかった。その世界の記憶はそこまでね」
私は一気に喋った。
ライムントは私の顔をじっと見ている。
「君はダウムの人間なんだな? あのダウムの」
「ええそうよ。あなたならダウム家がどんな家か知っているでしょう?」
「あぁ。永遠の9歳の話は聞いている。だがしかし……」
「信じても信じなくてもどちらでもいいわ。とにかく私はエデルに一生仕えると決めてるのよ。だから記憶がもどってすぐに飛んできたら、あんな女にエデルが殺されそうになっていたの。あなた達何をしてるの?」
腹が立つ。何が天才魔導士だ。好きな女ひとり守れないのか!
私はライムント殿下を思い切り睨みつけた。
「わかった。信じる。ダウム家の人間は信用できる。確かに君の言うとおり私はダメな男だ。エデルが絡むと可笑しくなる。あの時も私が判断ミスをしなければエデルはなんでもなかった。今回もそうだ。あの女を生かしておいたばかりに……」
ライムント殿下は拳を握りしめている。
さて、どうしたものか。エデルガルトはライムント殿下と結婚して、我が国にくるはずだった。あれから10年。エデルガルトは眠っていたが、違う世界では子供になり私達と一緒に楽しく生きていた。でも、その時でさえ狙われていた。あの時も黒幕を捕まえたいとエデルガルトは言っていた。
そもそもエデルガルトを亡き者にして得する者って誰だろう?
私は陛下を見た。
「陛下、エデルを殺した黒幕ってわかったのですか?」
国王陛下は首を振る。
「黒幕はわからない。案外いないのかもしれない。ミアの単独かも」
そうかもしれないな。何度も狙われたのは全て別々の犯人。それもありうる。
ライムント殿下が突然立ち上がった。
「意識が戻ったし、私はエデルをクラウベルクに連れて帰りたい。この10年アーベルとローザリアは頑張った。エデルがいなくてもやっていけるはずだ。もうエデルを自由にしてやってほしい。君はダウム家を出られるのか? 出られるのなら私が立ち上げる公爵家に仕えて欲しい。もうエデルを女王に戻しはしない」
「それは困る! 姉上にはまた女王に戻ってもらいたい」
陛下はテーブルを叩いた。
なんでそんなにこだわるのだろう?
私はこの人の心が知りたくなった。
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