【閑話】トーマスとジェフリーとトルデリーゼ

 魔法学校での日々は概ね楽しく過ぎていった。魔法学校には様々な年齢の人がいる。私は7歳ではあるけれど20代後半でもある。同じようなら年齢の人がいてよかった。


 何故かトーマスとジェフリーも生徒として学校に通っていた。しかも同じクラス。護衛のつもりだろうか?


「ねぇ、トム、なんでいるの?」

「ライムント様のご命令です」

「護衛?」

「それもありますが、魔法を習えと」


 なんだそれ?


「ジェリーも?」

「はい。魔法を習えと言われました」


 どうやらライムントはトーマスとジェフリーにも魔法を習わせるつもりらしい。まぁ、確かに護衛で同じクラスに潜入するならせっかくだし、魔法も習うべきね。


「あれ? あなた達?」

「あっ、トルデリーゼ様、お久しぶりです」


 トーマス達とトルデリーゼは知り合い? 私が驚いているとトルデリーゼがクスリと笑った。


「このふたりはうちがライムント殿下から預かって鍛えていたの。エデルの護衛になるためだったのね」


 そうだったのか。しかし、ふたりが私を誘拐したのは1歳の時。そこからトルデリーゼの家で修行したとしてもトルデリーゼは3歳くらいのはず。でもこの感じは全く3歳ではない。トルデリーゼは本当は何歳なの?


「ねぇ、リーゼは本当は何歳なの?」

「ふふふ9歳よ」

「「ぷっ」」


 トルデリーゼの言葉にトーマスとジェフリーが吹き出した。


「やっぱり違うの?」

「違わないわよ」


 トルデリーゼは涼しい顔だ。


 トーマスとジェフリーはそぉ〜っとこの場を離れた。


 逃げたな。どうやらふたりは瞬間移動または姿を消す魔法を身につけたようだ。



◇◇◇ (トルデリーゼ)


 私は移動魔法で二人を追いかけて捕まえた。

口止めをしておきたかったのだ。


「あなた達、なんで笑ったのよ。エデルが誤解するでしょう!」


 トーマスとすジェフリーがぷっと吹き出したので、エデルが私の年齢に不信感を持っている。

 確かに私は間違いなく9歳だ。しかし、事情があり、本当は何度も9歳を繰り返している。

9歳ではあるが、本当はライムント殿下と同じ年だ。

 これは、一種の呪いのようなもので、それが解けない限り私は永遠に9歳のままなのだ。まぁ、呪いが解けてもいきなり元の年になるわけではない。解けた時点からひとつづつ年をとるそうだ。呪いの解き方を偉い魔導士達が研究しているらしいがまだ全く解明されていないらしい。


 この秘密はまだエデルガルトやハウルには言わないつもりだ。


「トーマス、ジェフリー、私の秘密をエデルにバラしたら、次の日の朝には海で鮫の餌になっていると思いなさい」

「ひぇ〜、わかりました。言いません。言いません。俺達の口は貝のように硬いです」

「貝なんて煮たら開くじゃない。あんた達も熱湯に入れられたら開くんじゃないの?」

「ひぇ〜」


 ふたりはまた消えてしまった。


 私の呪い、本当に解けるのかしら? まぁ、このままでもそれはそれでありなんだけどね。


◆◆◆(トーマスとジェフリー視点)


「アニキ、トルデリーゼ様はやっぱり怖いな」

「あぁ、きっと本当の年は500歳なんだよ。鬼ババだ。鬼ババ」

「アニキ、それ聴かれたら鮫の餌だぜ」


 トーマスは消えた。(逃げた)


「アニキ〜! 待ってくれよ〜」


 鮫の餌にはなりたくない。

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