第24話

「でも 敵が来たら助けてくれるんだよね? 仲間になったんだし」


 せめて、ボディガードはやって欲しいな。


「それは 出来る時と出来ない時があります」


 どうも、歯切れの悪い回答だね。

 本当に、仲間になったのかなぁ。

 なんだか、心配になっちゃうよね。


「まぁ そういうことなら ちゃんと役割を決めてからミッションしないとね」


 そう言いつつ、アーバインと顔を見合せる。


「まぁ 次に新たなミッションが いつ来るかわからんけど 今までに公開されているイベントで試してみるか ??」


 新しい、ミッションでガチンコでやるよりとりあえず練習をしようと言うアーバイン。


「そうね

あたしたちは 一応クリアしてるけどサラさんは どこまでクリアしてるかな ??」


 しょっちゅう、あたしを狩りに来ていたけどちゃんとイベントをやっているのか疑問だよね。


「わたし 追加コンテンツには一切手を付けてないんです」


 アップデートで、増えたモノに興味無いってことなの?

 珍しい人だね。


「えっ

そうなんだ」


 疑いの、眼差しをサラに向けるあたし。


「そうです」


 すまし顔で、答えるサラ。


「もしかして ストーリーモードをクリアしてないとか………

それは さすがにないか」


 苦笑いしながら、聞いてみると、


「いえ クリアしていません」


 半笑いで、答えるサラ。


「えっ………

なんで ??」


 よく、わからない人だなぁ。

 このゲームの醍醐味はPKじゃあなくストーリーでしょ。


「他人のモノを奪うのが合わなくて」


 だったら、やめちまえよこのゲームって思っちゃうあたし。


「え

このゲームってそういうのだし

どこのストーリーで止まっているのかな ??」


 イラッと、しつつ聞くと、


「車を 盗むミッションです」


 さらーっと、答えるサラ。


「えーっ

初期も初期だね」


 チュートリアルの、次ぐらいのミッションでさすがに誰もつまずかないところよ。


「はい」


 悪びれるところもなしだね。


「でも クリアボーナスの装備品を付けているよね ??」


 桜柄の、ミニスカ和装はストーリーモードを全クリすると手に入る。

 それを、着ているからおかしいよね。


「あっはい

恵んでいただいたモノです」


「あっ

自分で 勝ち取ったモノじゃあないんだね」


 なーんだ、そっか。


「はい そうですよ」


 ニコッと、笑うサラ。


「なんだか サラさんってホントに不思議な人だね」


 様子を、眺めていたターザニムが自分のチャンネルのコメントが一段落ついて会話に入って来る。


「ねー

不思議」


 ターザニムも、思っていることは同じね。


「ついさっきまで コメントがすごい早さで流れて大変だったよ」


 スマートフォンの、画面をあたしに見せるターザニム。

 いや、まだけっこう早く流れてるよ。

 スパチャも。


「へぇ

サラさんって人気あるんだね」


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