第23話

「あっはい

いってら」


 手を、振るあたしに片手を上げて車に乗り込むワーカスト。


「はい

それでは」


 ピョンピョン男が、乗り捨てた車にそのまま乗って走り去るワーカストだが、


「さてと 待ち合わせ場所まで急ぐか」


 大通りから、未舗装路に入り土埃をたてながら駆け脱け、


「やれやれ

変人を 演じるのも疲れるぜ」


 人目を、避けた森の中でピョンピョン男とワーカストが合流する。


「うまく 潜入出来た

これ キミが欲しかった約束の品物だ

受け取ってくれ」


 レア武器を、地面に置くワーカスト。


「ほほっ

ありがてえ」


 ゆっくりと、拾い上げるピョンピョン男。


「案外 すんなり仲間になれたよ」


 口角を、歪めるワーカスト。


「へへっ

オレの変人演技が 上手かったからだろ

感謝してくれよ」


 レア武器を、ペロッと舐めあげるピョンピョン男


「ああ

演技かどうかは 置いといてな」


 自分から、にじみ出た代物だと言うワーカスト。


「おい どういう意味だゴルァ」


 バカにされたと、イキるピョンピョン男。


「いや変人だろ」


 ズバッと、指摘するワーカスト。


「なにをッ………

まぁイイや」


 なにかしらに、おびえたように受け流すピョンピョン男。


「今度なにかあれば また頼むぞ」


 あくまでも、落ち着いた口調のワーカスト。


「へん

イヤなこった自分でやりやがれ」


 強がって、見せるピョンピョン男。


「まぁ そう言うなよ

それと 何回も言っておくがくれぐれも このことを他人にしゃべるなよ」


 ピョンピョン男の肩を、握り潰す勢いで掴むワーカスト。


「わかってるよ

お前が キョウカにPKされまくった恨みを晴らすなんてガキっぽいことをするなんてくだらないこと言うかよ」


 半笑いのピョンピョン男。


「おう 頼んだぞ」


 掴んでいた肩を、勢いよく放す。


「ヘーイ」


その頃


「これだけ 戦力があればケンカをふっかけられる心配は 当分無いだろうな」


 アーバインが、苦笑いしながらそう言うと、


「ん゛ッ

そうだよね」


 ナージャ彡が、答える。


「これで イベントのミッションも進めやすくなるし」


 チラッと、サラを見ながら言うあたし。


「そうだな

期待してイイんだよなサラ ??」


 熱い視線を、サラに向けるアーバイン。


「期待には 添えないかもしれません」


 真顔で、そう言うサラ。


「えーっ

またまたーっ

謙遜してるんですよね ??」


 アーバインが、笑顔でつめ寄るが、


「あなた方が 思っているようなことは無理かも知れないです」


 と、つれないことを口走るサラ。


「えーっ

それって どういうこと ??」


 どういうことか、理解出来ないあたし。


「つまり 泥棒の真似事は しないということです」


 盗みは、ゲームでもやらないってことなのかな ??


「あーなる~」

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