第21話

「待って アーバイン」


 止めるあたし。


「えっ?」


 おどろくアーバイン。


「仲間になったの あたしたち」


 あたしが、半笑いでそう言うと、


「えっ誰と ??」


 頭から、クエスチョンマークが飛ぶアーバイン。

 目の前には、サラと見知らぬ男が立っている。


「サラと」


 笑顔を、ひきつらせつつ言うと、


「えーーッ !!」


 目が、点になるアーバイン。


「なになに

なにが起きたの ??」


 いかついプレーヤー姿で、かわいらしい声のターザニムが駆けつけて聞く。

 彼女の、リスナーもサラに土が付いたと盛り上がり祭り状態だね。


「サラが 仲間になったっぽい」


 ボソッと、ターザニムに言うと、


「えっ

おもしろくない冗談ね」


 腕組みして、見下すポーズをとるターザニム。


「うーん

どうやら事実らしいんだ」


 アーバインが、首をすくめる。


「キャー

PK神のキョウカと PK狩りのサラが同じパーティーのメンバーになるなんて胸アツだわ」


 ガラッと、反応が変わるターザニム。


「ちょっと 落ち着いてよほん………

ターザニム」


 また、本名を言いそうになったわ。

 あぶないあぶない。


「これが 落ち着いていられる? 絶対無理よね~

あっ ヒカワさんいつもプレゼントありがとう」


 超絶興奮状態の、ターザニム。

 チャンネルの、リスナーのコメントがものすごい勢いで流れていく。


「ホントに 仲間になったんだな ??」


 アーバインが、念押しするように聞く。


「はい 仲間です」


 なんだろ、サラってこんな人だったんだね。


「それならおれの言うことを聞くってことでイイのか ??」


 サラの、顔にくっつきそうなほど近寄るアーバイン。


「はい」


 コクッと、うなずく。


「うーん それなら仲間だ

それで そっちの人は ??」


 目線を、男に向けるアーバイン。


「あっ

この人は あたしのフレンドだよ」


 ヨガの、お客さんだと言うことを伏せるあたし。


「どうも ワーカストです

よろしくお願いします」


 ペコリと、頭を下げるワーカスト。


「うむ アーバインだ

よろしく」


 敬礼するアーバイン。


「パーティーメンバーが 一気に2人増えたね」


 ナージャ彡さんが、よろこんでいる。


「そうだな

もっとにぎやかになりそうな予感だな」


 腰に、手を置いて胸を張るアーバイン。


「さっそく 誰か来たよ」


 だいたい、プレーヤーが集まっているところには寄って来る人がいる。


「あれ リスナーさんかな ??」


 車を、横付けして降りて来た男。


「いや 知らない人だよ」


 誰も、名前にピンと来ていない。


「伝説を 見に来たのかな ??」


 興奮気味に、言うターザニム。


「いや わからん」


 首を、かしげるアーバイン。

 男は、パーティメンバーに近寄ると連続で跳ねている。


「ピョンピョン飛んでいるね

ちょっと止まってもらってイイですか ??」


 あたしが、そう言うんだけど、


「………」


 声を、出さずに跳躍力を見せつける男。


「おーい 跳ねるな」


 アーバインも、さすがにイラ立ちを見せる。


「聞こえてないのかな」


ブシュコッ


「えっ!?」


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