第19話

「はぁぁぁぁ」


 腰を、低くして抜刀の姿勢をとるサラ。

 これって、ヤバいんじゃあないかなぁ。


「なんか 構えてるよ」


 もう、イヤな予感しかしない。


「一気に突っ込んでやる !!」


 アクセルを、全開にするアーバイン。

 タイヤから、白煙が立つ。


「おい あいつ

車ごと斬るつもりだ飛び降りろ 死ぬぞ」


 ようやく、アーバインもサラがやろうとすることが見えて逃げるように言う。


ズバーーン


 鉄の塊が、4つに切り分けられる。

 ギリギリで、車両から脱出して車と共に切り刻まれることは回避する。


「なぁー

マズいよこれはぁ」


 倒れこむ、あたしの首筋に冷たいものが触れる。


「ちょっとま」


 それから、3回ほどリスポーンした路上の側にサラがいて、そのたびキルされる。


「いやー

ログアウトしたいな~」


 また、黙って抜けると色々言われるかも知れないけどこれじゃあまともにゲームにならないなぁ。


「ねぇ みんな

すっごい狙われてるよ」


 パーティーの、メンバーに呼び掛けるが、


「あぁ こっちも手一杯で助けに行けない」


 苦しそうな、アーバインの声。


「同じく

ゲホッゲホッ」


 ナージャ彡さんも、しんどそう。


「なんかさー

動画のネタとしては展開が欲しいかもー」


 ピンチを、おいしいと考えるターザニム。


「展開ねぇ

なんか サラを倒す方法が

グヘェ」


 リスポーンと同時に、後ろから強く押されて倒れこむあたし。

 振り返ると、男が立っている。


「えっ誰あなた

新たな敵!?」


 次の瞬間、サラが放った斬擊が空を斬る。


「わっ あぶなかったわ」


 また、サラに斬り刻まれるところだった。


「ありがとう 助けてくれて」


 アヒル座りしながら、礼を言うと、


「次が 来るぞ

壁際まで移動して」


 なんだか、聞いたことのある声だね。


「あっ はい

サラは 強敵ですよ」


 あなたが、どれだけ強いか知らないけど万が一にはオトリになってもらってあたしは逃げるからね。


「はい

キョウカさんは下がってて」


ガギーッ


 刀同士が、勢いよくぶつかる音が響く。


「ムッ」


ギリギリギリ


 なんと、つばぜり合いでサラに勝っている。

 ありえない光景だなぁ。


「ハッ」


 男に、押されてサラが後転して片ヒザをつく。

 そこを、すかさず畳み掛ける男。


「わっ速い」


 サラの、上半身と下半身が別れて鮮血が吹き出す。


「やった」


 この、見ず知らずの男があのサラを倒した。


「やるわね ワーカストさん」


 こんなに、強いプレーヤーがいるなんて全然知らなかったわ。


「キョウカさん オレです」


 なんだか、知り合いのようなことを言うワーカスト。


「えっ 誰 ??」


 プレーヤーネームも、ピンとこないし。


「ヨガで依頼してマッサージ受けた順也です」


 ようやく、誰なのかわかったよ。


「えっ あの!」

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